ゼミ紹介

『大学案内2022』より

経済学部 山田ゼミ「数理ファイナンス」
ファイナンスと数学の間から技術革新を探る

山田 俊皓 准教授

山田 俊皓 准教授

東京大学大学院経済学研究科修士課程修了後、三菱UFJトラスト投資工学研究所(MTEC)に入社。2015年経済学博士(東京大学)。2015年一橋大学経済学部講師、2018年から准教授。主な論文にT.Yamada, An arbitrary high order weak approximation of SDE and Malliavin Monte Carlo: analysis of probability distribution functions, SIAM Jou rnal on Num eric al Analy si s (2019)など。2015年度JAFEE(日本金融・証券計量・工学学会)論文賞を受賞。

ゼミ風景

ファイナンスという学問には、将来のリスクに立ち向かうための先人の知恵が詰まっています。その一分野である「数理ファイナンス」では、数学の言葉でファイナンスを記述し、リスクをコントロールするための様々な方法を扱います。ゼミでは、リスクをどう捉えて、どう向き合うかについて基礎の理論から学び、様々な問題に応用できるように指導しています。「数学を用いてファイナンスを解析する」というフレーズはこの分野を説明するときによく使われますが、この分野のもう一つの特徴は、数学の手法をファイナンスの解析に輸入するだけでなく、ファイナンス側から数学に新しいテーマを輸出していることでしょう。実際、この20年くらいに登場した数学分野の数値計算法はファイナンスに端を発していることも多いです。このように一見遠いように思えるファイナンスと数学には実は強力なインタラクションがあります。社会科学に分類されるファイナンスと、純粋数学の一分野である確率解析学が相互に貢献し、発展しているという図式は他分野では見られない稀有な例ではないでしょうか。ゼミでは数理ファイナンスの方法について教えていますが、その奥にある実社会と学問とのインタラクションについても伝えたいと思っています。学生のうちに一度でもこのようなことをじっくり学んだ経験があると、社会に出た時に物の見方が大きく変わるでしょう。今の時代、何がニーズとなり何がシーズとなるか一層分かりにくくなったと思います。どのニーズからシーズが生まれるか分かりませんし、シーズが生まれたからニーズに繋がるかもしれません。しかし、複雑化しているものの、実社会における新技術というものは歴史がそうであったように往々にしてこの繰り返しの中から生まれます。数学は社会に出ても圧倒的に役に立ちますが、数理ファイナンスを学ぶことは世の中の技術革新の萌芽について考えるきっかけであってほしいと思います。


内山 みどり

内山 みどり

経済学部4年

サッカーがお好きで、関西弁でとても気さくな山田先生が率いる山田ゼミでは、数理ファイナンスを勉強しています。数理ファイナンスとはファイナンスにおける様々な問題に対して数学を用いて解決しようとする学問です。現在4年ゼミでは卒業論文を書いていますが、ファイナンスに限らずゼミ生それぞれが好きな研究に取り組んでいます。他のゼミ生の研究内容を聞くと、ギャンブルにおける最適な賭け方など自分の趣味を数学的に分析しており、とても興味深いです。大学では決められた時間割もなく、どのように勉強するかも個人の選択次第です。特に山田ゼミでは、テーマや学習内容もゼミ生の自主性に委ねられています。そのため山田ゼミの雰囲気はとても自由で、拘束もあまり厳しくありません。しかし学ぶ意欲のある学生に対して、山田先生は本当にきめ細かく指導をしてくださります。大学に入って貪欲に勉強したいと思う学生には最適なゼミです!

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