ソーシャル・データサイエンスの教育研究

近年の社会・自然環境の大幅な変化により、企業経営における情報化の急速な進展や国際競争の激化、富の集中や地域間の不平等、金融システムの深化や不安定化、高齢化と社会保障費の増大、温暖化や異常気象といった気候変動、国家間の分断や紛争、未知のウィルスによるパンデミックなど様々な課題が新たに発生しており、これらの課題の状況は刻一刻と変化を続けています。
本学は、急速かつ複雑に変化する現代社会の課題を解決するためには、本学が伝統的に強みを持つ「社会科学」のみの教育研究でも、国内外で急速に教育プログラムの設置が進められている「データサイエンス」のみの教育研究でも、いずれも不十分であると認識しています。社会科学の知見のみでは、ビジネス上・政策上の課題解決や意思決定を、不十分な材料により行わざるを得ません。そして、データサイエンスの知見のみでは、解決可能な社会課題の範囲が、既存のデータで扱いうる課題に限定されてしまいます。

よって本学は、社会科学の理論を用いてビジネス上・政策上の様々な課題を抽出し、データサイエンスの技術を用いてそれらの課題を解決するために必要なデータを収集・分析するとともに、改めて社会科学の理論を用いて現実社会における取組や意思決定のための示唆を得る、という、社会科学とデータサイエンスを融合させた教育研究が必要であると考えました。それこそが、本学が新学部・研究科において行う「ソーシャル・データサイエンス」の教育研究です。

新学部の開設は、既存の4学部(商・経済・法・社会)への好影響も期待されます。本学では、伝統的に学部間の垣根が低く、他学部の授業もほぼ自由に履修することが可能です。そのため、特定の社会科学領域の理論を深く学びたい新学部の学生は既存4学部の授業を履修し、データサイエンスの技術を学びたい既存4学部の学生は新学部の授業を履修することで、本学のすべての学生が、現代社会の課題を解決に必要な知識・技術を身に付けることができるようになります。同様に、教員間での学部・研究科を超えた交流を通じた、研究活動への好影響も見込まれます。
このように、本学では、新学部・研究科の開設とそこでの教育研究を通じて、本学全体の教育研究を、より現代社会で求められているものに進化させ、それにより本学の使命である「日本及び世界の自由で平和な政治経済社会の構築に資する知的、文化的資産を創造し、その指導的担い手を育成すること」が可能になるものと考えております。
なお、ソーシャル・データサイエンスについての詳細は、こちらもご覧ください。

養成する人材像

学士課程

本学部では、ソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの養成を目的としています。ここで言うゼネラリストとは、興味関心を持つ業種において、幅広い観点からビジネスの革新や社会課題の解決に対する方策を提案・実行し、幅広い職種を経験しながら専門性を身に付けていく人材のことを指しています。
本学部の卒業生は、社会科学とデータサイエンスが融合した知識を活用し、「PBL(Project-Based Learning)演習」などで培われた分析力、リーダーシップ、プレゼンテーション能力などを実践することで、卒業後のキャリアに能動的に取り組みます。そのような人材は、具体的には(ア)開発・マネジメント型人材と、(イ)分析・マネジメント型人材に分類できます。

(ア)開発・マネジメント型人材とは、本学部で修得した、統計学・機械学習などデータ分析の知識やデータベース・アルゴリズムなど大規模データの管理・活用の知識に加え、社会を俯瞰するための社会科学の知識を活用して、利便性の高いデータ分析基盤を開発することができる人材のことを指しています。このような人材は、たとえば情報機器・システムを開発・製造するベンダー企業及びそれらを利用する幅広い業種のユーザー企業、中でも素材・加工組立・生活関連にわたる幅広い製造業企業において、製品の製造だけでなくデータ分析や情報技術を活用して流通や販売を管轄することのできる経営幹部の候補として、社会に貢献します。

(イ)分析・マネジメント型人材とは、本学部で修得した社会科学とデータサイエンスを融合した知識を活用し、既存の社会科学では解決できない新たな課題に対応可能な組織運営に能動的に関与していくことができる人材のことを指しています。このような人材は、たとえば政府機関では政策分析、調査研究、予測、公的データ整備、金融機関では市場・信用リスク管理や金融商品の開発、シンクタンクでは顧客の課題解決を推進するようなデータ分析、また、商社、卸売小売、通信・運輸産業では日々得られる膨大な市場データを用いて顧客の嗜好や販売戦略を策定するような分析業務を、実際に遂行できる能力を備えたうえで、経営幹部の候補として、社会に貢献します。

なお、これらの人材の一部は、ソーシャル・データサイエンス分野において、高度専門職業人材や複合的学術領域の研究人材として活躍するために必須となるソーシャル・データサイエンスの最先端の知識を身に付けるため、ソーシャル・データサイエンス領域の大学院に進学することが見込まれます。

修士課程

本研究科では、社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの学問分野において、最先端の知識を自ら活用し、新たな課題を発見し解決に導くことができるソーシャル・データサイエンスのスペシャリストの養成を目的としています。ここで言うスペシャリストとは、教育研究を通じて身に付けた専門性により社会に貢献する人材のことを指しており、大きく(ア)高度専門職業人材と、(イ)複合的学術領域の研究人材に分類できます。

(ア)高度専門職業人材とは、社会科学とデータサイエンスの高度な知識をもってコンサルティング企業、金融機関、製造業、卸小売業、情報通信業・運輸業など幅広い業種において経営に携わることができる人材や、社会科学とデータサイエンスの高度な知識をもって政策機関において政策立案に携わることができる人材のことを指しています。このような人材は、それぞれの業種により多様な業務に携わることがあり、例えば、コンサルティング企業ではデータアナリスト、金融機関では統合的なリスク管理を行うリスク・マネージャー、製造業では製品の開発だけでなく流通や販売を統括するプロダクト・マネージャー、小売業では購買者の詳細なデータを分析して広告や販売計画を立案するチームを統括するプロジェクト・マネージャーなどが挙げられます。また、政策機関ではあらゆる場面においてEBPMが求められており、実際にデータを用いて分析を行う分析官から、分析結果を正しく解釈し政策運営を導く統括レベルに携わることができる人材までを養成します。

(イ)複合的学問領域の研究人材とは、本研究科において、社会科学とデータサイエンスの知識を融合した研究テーマを見出し、国内外の大学院博士課程に進学することで、将来的に大学や公的・民間研究機関にて研究に従事する人材のことを指しています。このような研究人材は、経営学、経済学、法学、社会学、政治学、歴史学、心理学、教育学のような社会科学の諸分野においてデータ駆動型の研究を行い、従来の手法では解決できなかった新しい課題に光をあてるという点で注目が集まっています。また、統計学やAI(人工知能)などデータサイエンスと直接関連する分野においても、先進的な社会課題の解決は重要なテーマになっていることから、このような研究人材が活躍する余地は大きくなっています。本研究科では、幅広いデータサイエンスの手法や社会科学の課題に触れさせることで、分野横断的なソーシャル・データサイエンス領域の研究者の養成を目指します。

 

>ソーシャル・データサイエンス研究科修士課程 学位論文に係る評価に当たっての基準

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