カリキュラムの特徴(学士課程)

ソーシャル・データサイエンスへの入門と、その法・倫理を学ぶ必修科目

1年次の必修科目として、ソーシャル・データサイエンスという新たな学問領域への第一歩となる科目を配置しています。さらに2年次の必修科目として、データを扱う者が必ず理解しておくべき法と、必ず備えるべき倫理について学ぶ科目を配置しています。

ソーシャル・データサイエンス入門Ⅰ(1年春夏学期)

ソーシャル・データサイエンスの全体を知るための授業であり、大学での学びとは何か、社会科学とは何か、データサイエンスとは何かについて紹介し、ソーシャル・データサイエンスが対象とする社会科学およびビジネス・社会課題の各領域について、データ分析事例を紹介しながら、その全体像を概観する。また、学生には、ソーシャル・データサイエンスの学び方についても理解させ、グループワークを通じてソーシャル・データサイエンスの未来についても展望させる。

ソーシャル・データサイエンス入門Ⅱ(1年秋冬学期)

従来、テクノロジーが産み出す新たな装置は、社会の仕組みを変え、ライフスタイルを変えてきた。今日では計算機資源やデータ、ものづくりの民主化が進み、社会やライフスタイルのビジョンを実現する形でテクノロジーを駆使したサービスやシステムが構築される時代になりつつある。本講義では、ローカルそしてグローバルな課題を洞察し、社会システムをデザインするビジョンからソーシャル・データサイエンスを駆使する課題達成の視点を涵養する。

ソーシャル・データサイエンスの法と倫理(2年春夏学期)

データを用いて社会に有益な知見を得るための、データサイエンスの社会実装に不可欠な法と倫理の関係の基礎と背景、ビッグデータの利活用の前提となるデータの収集やデータガバナンスに関係した法制度、データを解釈し、分析をおこなって実際に活用する際に必要となるデータに関する法と倫理の基礎知識を学ぶ。とくにビッグデータの分析と取扱いに関する倫理基準、データとプライバシーに関する法制度の展開について学ぶ。

ビジネス領域、社会課題領域、データサイエンスの3領域の体系的な知識を修得

本学部におけるソーシャル・データサイエンス教育では、ビジネス領域、社会課題領域、データサイエンスの3領域について、体系的な知識を修得させるカリキュラムを提供しています。すべての学生は、ビジネス領域(経営学、マーケティング、経済学など)から少なくとも1つの分野を、社会課題領域(法学、政治学など)から少なくとも1つの分野を選択し、導入科目→基礎科目→発展科目と、系統的な学修を行います。併せて、データサイエンス領域では、統計学、情報・AI、プログラミングという3つの分野において、必修科目を含め、系統的な学修を行います。

PBL演習を通じた実践的な知識・スキルの修得

3年次必修のPBL演習(PBL:Project-Based-Learning)では、企業や政策機関等で実際に行われているデータ分析に関わります。演習内では、企業や政策機関等から、現実の問題意識とデータを提供されます。学生は、1・2年次に修得した社会科学の知識を用いて具体的課題を設定します。そして、データサイエンスの知識を用いて課題の解決方法を設定し、データ分析を実施します。さらにデータ分析の実施後は、社会科学の知識を用いて、分析結果からの含意の抽出と現実社会での活用方法について考察します。これにより、学生は社会科学とデータサイエンスの知識を融合する経験を得ることができます。

一橋大学の伝統である、ゼミナールを通じた全人的教育や他学部開講科目を通じた幅広い学び

一橋大学の伝統である3~4年次必修のゼミナールでは、担当教員や他学生との濃密な議論を通じた深い学びを得るとともに、独自の問題意識を醸成します。そして、その問題意識に基づく研究を実施し、本教育課程の成果の集大成となる学士論文を執筆します。

また、一橋大学では、伝統的に学部間の垣根が低くなっており、学生は、他学部開講科目のほとんどを自由に履修することができます。そのため、本学部の授業で興味を持った社会科学関係の特定テーマについて、関連する他学部開講科目を履修することで、特定の分野を深く学ぶことが可能になります。

本学部のカリキュラム・マップとカリキュラム・ツリー


カリキュラムの特徴(修士課程)

ソーシャル・データサイエンスの全体像とデータサイエンスのELSIを学ぶ必修科目

大学院修士レベルで学修するソーシャル・データサイエンスは、学部レベルのソーシャル・データサイエンスに比べ、より多くのデータを分析対象とし、より高度な理論を援用することに特徴があります。そのため、分析手法や援用する理論の具体例に基づいて学ぶための科目を、1年次の必修科目として配置しています。併せて、社会におけるデータサイエンスの倫理的・法的・社会的諸課題への理解を促すための科目も、1年次の必修科目として配置しています。

ソーシャル・データサイエンス特論

ソーシャル・データサイエンスとその周辺について学ぶ。ソーシャルメディアをはじめとする大規模なウェブデータを対象とした解析や、テキストや画像を含むマルチモーダルデータのハンドリング、そして時空間を縦断・横断する系列データ・多次元データの処理などを扱い、それらが社会科学やビジネス・社会課題解決でどのように活用されるかについても学習する。

データサイエンスのELSI

データサイエンスの倫理的・法的・社会的諸課題について最先端かつ重要な事案について、研究発表をおこなうことにより、具体的な問題状況を立体的に把握し、倫理的・法的・社会的課題への対応を検討することができるようになることを目的とする。

ビッグデータの扱いにも対応したデータサイエンス科目

大学院修士レベルのソーシャル・データサイエンスを学び、その実践力を習得するには、学部レベルのソーシャル・データサイエンスに比べてより高度な分析方法論の理解とその実践力の習得が必要となります。そのため、「データサイエンス科目」として、データサイエンスの専門知識である統計分析と機械学習の知識の中でも、特にビッグデータに対応した分析手法を修得させるための科目を、選択必修科目として配置します。

統計分析発展(実践)

幅広い分野への応用を想定して、適用範囲の広い手法を中心に実践的な統計分析手法を習得することを目的とする。実践に当たって悩みがちなポイントをおさえつつ、さらに発展的な手法の学習の足掛かりになるような知識の習得を目指す。理論的な背景を理解するための講義とStata(or R)による演習を並行して行う。回帰モデルを中心として、モデルの推定・正則化・モデル評価といった関連するトピックも取り上げる。

統計分析発展(学術)

近年のデータ環境の充実により、大規模かつ複雑なデータを効率的に分析するための手法が求められている。この講義では、90年代以降に発展してきた高次元ビッグデータのための統計学的な方法論と理論を解説する。特に、スパース回帰モデルにおけるLasso 推定量の統計的性質について学ぶ。さらにバイアス修正Lasso推定量をもちいた高次元における統計的推測や、偽発見率(FDR)をコントロールした変数選択などのトピックを取り扱う。

機械学習発展(実践)

実践的な機械学習アプリケーションの開発においては、あらかじめ与えられたデータを機械学習によって処理するのみならず、データ自体の下処理や、断続的に変化するデータ環境への対応が必要となることも多い。そこで、本講義では、データの下処理、データの認識、ならびに計算機の自律的学習の観点から三つの演習を実施し、機械学習の実践的な手法について横断的に学習する。

機械学習発展(学術)

学術研究においては、現象を理解するという視点から機械学習手法を活用することが有用である。そのためには、機械学習理論の深い理解とその活用が必要となる。本授業では、各種機械学習理論の復習を行いつつ、現象の理解に必要な機械学習手法の活用法を学ぶことで、機械学習を学術研究に取り入れる際の着眼点を養うことを目的とする。

社会科学とデータサイエンスの高度な知識を有機的に融合させて取り組む事例を学ぶソーシャル・データサイエンス発展科目

社会科学とデータサイエンスを高度に融合させて取り組む事例に基づいた授業を展開することで、ソーシャル・データサイエンスの素養を高め、学生が独自に修士論文のテーマ設定に役立てることなどを目的として、「ソーシャル・データサイエンス発展科目」を配置します。同科目群は、企業経営の課題を扱う「ビジネス・イノベーション分析科目」と社会課題の解決策を扱う「社会課題解決科目」に分けられます。

「ビジネス・イノベーション分析科目」では、企業経営や顧客等に係るビッグデータを用いて経営課題の解決、顧客創出や新製品開発などのイノベーションの創出に資する研究に基づいた授業を展開し、ソーシャル・データサイエンスの素養を高めることを目的とします。

「社会課題解決科目」では、高齢化や地方創生などに対する政策効果やAI(人工知能)など情報技術により発生する社会での課題の解決に資する研究に基づいた授業を展開し、ソーシャル・データサイエンスの素養を高めることを目的とします。

部門の異なる教員による集団指導体制

本研究科では、社会科学とデータサイエンスが融合したソーシャル・データサイエンスという学術領域の特徴もふまえ、複数の専門的知見を基にした複数教員による指導体制を取ります。個々の学生に対して主指導教員と専門分野(部門)が異なる副指導教員を配置することで、分野横断的・異分野融合的な研究の指導が可能となります。

本研究科の研究指導で中心となる場は「演習(・副演習)」及び「研究指導」であり、それらは一体をなしています。学生は主指導教員の演習に出席し、必要に応じて副指導教員の演習(副演習)にも出席します。併せて、学生は主指導教員の研究指導にも出席し、そこでは必要に応じて参加する副指導教員からの指導を受けることもできます。

演習(・副演習)では、事前準備をふまえ、主に学生同士の議論を通じて、特定のテーマに関連する幅広い知識や現実社会における具体例の解決策についての知見を深めます。研究指導では、各学生の研究テーマや、執筆中の修士論文について、主指導教員との一対一の議論を通じて、研究テーマへの理解を深め、研究の方法論や論文執筆手法を学びます。

演習(・副演習)を通じて得られた幅広い知識や現実社会の課題解決策についての知識は、学生個人の研究テーマを深めたり、修士論文を執筆したりする際に活用され、研究指導における教員との議論を豊かにします。また、研究指導を通じて得られた方法論の知識や、議論を通じて磨かれた学生個人の問題意識・観点などは、演習(・副演習)における学生同士の議論を豊かにするために活用されます。

本研究科のカリキュラム・マップ

SOCIAL DATA SCIENCE

ソーシャル・データサイエンス学部・研究科