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商学部
ビジネスの世界で役立つ理論的思考能力を身に付ける
商学部は商学及び経営学をその教育・研究領域としており、商法講習所、東京高等商業学校、東京商科大学から続く一橋大学の伝統を中心的に受け継いできた学部です。
“Captains of Industry”の育成という本学の使命の下、商学部はアカデミズムに裏付けられた実践的な分析能力と解決能力をもつリーダーを育てることに力を入れてきました。卒業生の多くが実業界を中心に日本の経済・社会の発展を牽引し、あるいは社会が直面する様々な課題の解決に貢献しています。商学部のこのような教育を支えているのは、長年にわたり学界をリードしてきた本学部教員の高水準の研究です。
商学部での学修内容を簡単に表現するなら、「企業や市場に関連する応用社会科学」ということができます。企業や市場に関連した現象を様々な角度から理論的に解明するために、経営学や会計学、商学、経済学、歴史学、社会学、心理学など多様な社会科学の学問を理論的に幅広く学び、現実世界の解明へと応用していくのが商学部における教育・研究の特徴です。これらをじっくりと学ぶことによって、理論的に深く考える能力が身につき、それが高度専門職業人として生きていく上で大切な力となります。同時に、高度に知的なトレーニングと人間的なふれあいを特徴とする少人数のゼミナール教育を通じて、高い知性と倫理性を備えた高潔な人格を育んでいくことも、商学部が目指しているところです。
商学部生は全員が入学時から卒業するまで、本学伝統の「ゼミナール」が必修となっています。1年次の「導入ゼミナールⅠ・Ⅱ」に始まり、2年次の「前期ゼミナールⅠ・Ⅱ」を経て、3・4年次の「後期ゼミナール」まで、学年進行とともに、基礎から応用へと段階的に高度化・専門化していきます。
一方、講義科目については商学部の教育に必要とされるコアの学部導入科目を学んだ後、学部基礎科目、学部発展科目に進みます。これらの講義科目は、段階的・体系的コースワークの性格を強めたものになっています。それに加えて、企業や団体による寄附講義を多数開講し、第一線で活躍する実務家教員による教育も行われています。
商学部ではまた、特に優れた学生のために「学部・修士5年一貫教育プログラム」が用意されています。このプログラムを履修することにより、学士課程入学から大学院修士課程修了までの5年間(通常の修業年限は6年)で学士号に加えて修士号をも取得することができます。
商学部がその教育において重視しているのは、実践志向の強さと国際性の高さです。ここでいう実践志向とは、学んだことを単に知識のレベルにとどめるのではなく、直面する問題の解決に向けその知性を創造的に動員し、なおかつ解決の実現に向けて自らコミットすることを意味しています。また国際性とは、使用する言語や文化的背景の相違に制約されることなく自らの能力を発揮できることを意味しています。本学部は世界各国から多数の留学生を受け入れているのみならず、逆に「世界に平然と打って出る」商学部生を増やしていきたいと考えています。英語によるゼミナールや専門科目の履修、海外留学を取り入れた、グローバル・ビジネスリーダーの育成を目指す渋沢スカラープログラム(SSP)は、そうした取り組みの核になるものです。
社会科学的な知性を身につけ、高度な専門知識を駆使する職業人として世界を舞台に活躍しようと志す人の期待に、商学部は十分に応えます。
経済学部
「5年一貫教育システム」と高度専門職業人の養成
経済学部の教育は、社会的要請への対応という側面を重要視しています。特に、卒業後の進路を考えた場合、経済学に関して高度な知識と技術を必要とする職業が増加しています。例えば、銀行や証券会社などの金融機関において派生証券の開発や運用に携わる部門、国連などの国際機関、国や県などの官公庁、民間の研究機関やシンクタンクなどにおいては、最初から実践的な専門的能力が期待されています。このような社会状況を背景として、経済学部では、授業科目を入門科目、基礎科目、発展科目に分けて、積み上げ方式による教育を実施しています。そして、勉学の進んだ意欲ある学生には、大学院科目を開放しています。
このことを制度として発展させたものが「5年一貫教育システム」であり、学部在学時に大学院科目を履修することによって、学部4年間の後、引き続いて修士を1年間で修了することを可能にしています。このシステムは、「5年一貫研究者養成コース」と「5年一貫修士専修コース」という2つのコースに分かれており、そのうち「5年一貫修士専修コース」は、「公共政策」、「統計・ファイナンス」、「地域研究」、「医療経済」、「一般」の5つのプログラムから構成され、上述の高度専門的な職業への就職を後押ししています。
経済学の研究内容は、時代の文脈を反映して、時代とともに変化します。教育についても、同様であります。経済学部は、そのような時代の風を感じ取りつつ、今後も、一橋大学の経済学がグローバル・スタンダードで注目されるようなものであり続けるように、様々な努力をしているところです。
法学部
良識ある指導的市民としての役割を果たしていくために
法学部は、教育目標として、第1に、法律学・国際関係論の基礎知識及び思考方法を確実に習得させること、第2に、幅広い教養を系統的な視点から習得し、人間性豊かで学際的知識を身に付けた教養人を養成することを掲げています。
まず、なぜ法学と国際関係なのでしょうか。法は、現代の国家運営の骨格を成すものです。国の仕組みから始まって、人や物の動きや経済活動、犯罪への対処、さらには国の枠を超えた国家間の取り決めなど、生活のあらゆる場面でのルールを定めています。そして、そのようなルールは、たとえ日本国内の問題であっても、今や国際的諸関係を抜きにしては語れないからです。
教育目標の第1が示しているように、法や国際関係には、個別の紛争解決に役立つという側面があります。ルールを知り、それに従って適切に問題を処理する知識・能力は、複雑化する現代社会で重要性を増しており、単に専門家に任せておけば良いとは言えなくなっています。もっとも、個々の紛争の基礎に横たわる問題を知らなければ、本来的な解決には至らないでしょう。教育目標の第2は、このような側面にかかわるものです。学問として法や国際関係を学ぶことには、より広い視野から問題を把握し、世界を全体として展望する視座を獲得するという意味があります。法学や国際関係論は、正義を、あるいは平和と共生を目指すものであって、それは単なる知識の集積を超えた営みなのです。
世界は、先行きが見えにくい状況になっています。多くの人々が真摯な思考や責任ある判断をなくしているのではないかという指摘もみられます。そのような中で、法的な素養・国際関係の知見を豊かに備えた人が、良識ある指導的市民として果たす役割は、今後ますます大きくなっていくでしょう。一橋大学法学部は、その要請に応える人材を多数育成してきましたし、そのような誇りある地位を今後さらに高めていきたいと考えています。
社会学部
多彩な開講科目、個性的な教員を擁する、社会科学の総合学部
一橋大学の社会学部は、国立大学法人の中でただひとつの社会学部です。その英訳名Faculty of Social Sciencesが示すように、社会諸科学の幅広い総合を目指す「社会科学の学部」であり、「社会学(ソシオロジー)」に限定された学部ではありません。もちろん社会学は多様で広範な領域を含み、社会学部の大きな柱のひとつですが、社会学部ではそれ以外にもたくさんの学問を学ぶことができます。
もともと商法講習所以来、一橋大学は、商学や経済学を起点としながらも、社会や人間、歴史や文化といった多様な領域に目を向けることで、常に広い視野をもち多様なアプローチを通じて問題に取り組むという独自の学風を作り上げてきました。「社会科学の総合」という本学の理念を象徴するこの独自の学風を、社会学部は研究・教育におけるもっとも大切な要素として受け継いでいます。
社会学部の組織は4つの研究分野(社会学研究、共生社会研究、歴史社会文化研究、超域社会研究)をベースに編成されており、教員はそれぞれの研究分野に属して教育研究活動を行っています。多彩な開講科目、個性的な教員、少人数のゼミナールによる濃密な教育が社会学部の最大の特徴であり、他学部に比べて教員や学生が多様性に富んでいることも特色です。
小冊子『社会学部履修ガイド』には、多彩な講義群からの履修方法について、アドバイスが満載されています。
国際的に開かれた社会学部は、教員も学生も海外とのつながりが深く、外国人留学生や、在学中に留学する学生がたくさんいます。「グローバル・リーダーズ・プログラム」に参加して、外国語力に加え地球規模の課題の解決力を鍛えることもできます。
また、学部・大学院(修士課程)を5年間で修了できるプログラムもあります。
社会学部は総合性、専門性、人間性、国際性といった基盤的能力の育成を通じて、企業人、公務員だけでなく、ジャーナリスト、教員、研究者など、多方面で活躍する人材を数多く輩出しています。
社会学部は、現実への批判的関心と旺盛な知的好奇心を持つ、個性的な学生を歓迎します。
ソーシャル・データサイエンス学部
社会科学とデータサイエンスの「融合」
近年の社会・自然環境の大幅な変化により、企業経営における情報化の急速な進展や国際競争の激化、富の集中や地域間の不平等、金融システムの深化や不安定化、高齢化と社会保障費の増大、温暖化や異常気象といった気候変動、国家間の分断や紛争、未知のウィルスによるパンデミックなど様々な課題が新たに発生しており、これらの課題の状況は刻一刻と変化を続けています。
このような、急速かつ複雑に変化する現代社会の課題を解決するためには、社会科学の理論を用いてビジネス上・政策上の様々な課題を抽出し、データサイエンスの技術を用いてそれらの課題を解決するために必要なデータを収集・分析するとともに、改めて社会科学の理論を用いて現実社会における取組や意思決定のための示唆を得る、という、社会科学とデータサイエンスを融合させた教育研究が必要です。それこそが、本学部において行われる「ソーシャル・データサイエンス」の教育研究です。
本学部は、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの学問分野において、その考え方を修得し、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの養成を目指します。ここで言うゼネラリストとは、興味関心を持つ業種において、幅広い観点からビジネスの革新や社会課題の解決に対する方策を提案・実行し、幅広い職種を経験しながら専門性を身に付けていく人材のことを指しています。
本学部では、社会科学とデータサイエンスの知識を融合し、社会で蓄積されるデータを用いて、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できる人材を養成します。そのような人材は、具体的には、利便性の高いデータ分析基盤を開発することができる開発・マネジメント型人材と、既存の社会科学では解決できない新たな課題に対応可能な組織運営に能動的に関与していくことができる分析・マネジメント型人材に分類できます。いずれも、将来の経営幹部の候補として、社会に貢献することが見込まれます。