ゼミ紹介

『大学案内2026』より

社会学部 竹中ゼミ「国際社会学」
文化の「境界」を超えて --移民、民族、共生の社会学

竹中 歩 教授

竹中 歩 教授

コロンビア大学(米国)社会学部博士課程Ph.D。Bryn Mawr大学(米国)社会学部准教授、オックスフォード大学(英国)研究員などを経て、現職。専門は、移民研究、人種・民族関係、国民アイデンティティ、食文化のグローバル化。長年、各国に離散するペルー人移民を追うことで、アメリカ・日本・スペイン・ペルーでエスノグラフィー調査に従事。現在は、「ニッケイ料理」を中心に、移民と食の変容、美食外交について研究中。

ゼミ風景

現在、世界に「移民」と言われる人たちが2億8千万人ほどいると言われており、日本においても外国にルーツを持つ人々が増え続けています。そもそも、移民とはどういう人たちを指すのでしょう。どのような背景の人たちが、どういう理由で日本に来るのか、考えてみたことはありますか。もしかすると、第三世界の貧しい人々が単に豊かな生活を求めて先進国に移動するもの、と考えている人が多いかもしれません。実際には、貧困に喘ぐ人が遥か遠くの国まで移動することは滅多にありません。ある程度の財力や情報を備えた中間層の人々が動くことが多いと、一般的には言われています。人が移動する背景には、個人の動機だけでなく、植民地の歴史や国家間の経済的なつながり、受け入れ側が必要とする人材をリクルートする仕組みなど、さまざまな社会的要因や制度が絡んでいます。
国境を越える現象とは、移民だけでなく、モノの動きや、文化やアイデンティティが変容する過程を含みます。このゼミでは、こうした現象をめぐる要因や影響について、国際社会学の分野を中心に学びを深めていきます。国際社会学とは、国民国家という枠組みを前提に分析されがちな社会の諸課題をグローバルな視点から再考するという学問領域で、移民の統合、民族アイデンティティ、ナショナリズム、共生の課題、といったテーマを主に扱います。ゼミでは、文献を輪読するだけでなく、外国人の集住地区を訪問したり、インタビューを実施するなど、実践を重視した活動を積極的に取り入れます。また、さまざまな国の料理を堪能したり、海外からのゲストと交流するなど、「楽しく学ぶ」ことをモットーにしています。
英語に触れることが多いことも、このゼミの特徴です。英語力向上を目指すと共に、グローバルな視点を養い、研究手法を習得することを目標に、有意義なオリジナルリサーチを遂行できるよう、少人数での徹底した指導を行います。


宇野 菜穂

社会学部3年

竹中歩ゼミでは、国際社会学の中でも特に国際移民について質的調査を中心に研究しています。本ゼミでは3年次から、日本語、英語を問わず国際移民研究にまつわる専門的な文献を読みすすめることで事例に触れ、調査手法を学び、知見を深めています。また同時に各々の関心領域を掘り下げ、卒業論文作成に向け個人の研究テーマを定めていきます。
フィールドワークでは移民の方が多く集まる地域を訪問し、実際に移民の方のお話を伺ったり、コミュニティのレストランで一緒に食事をして食文化を体験したりと、文献だけでは得られない学びがあり楽しいです。
また現在は比較的少人数の体制なので、普段人前ではなかなか発言しにくいと感じる方も穏やかな雰囲気の中で積極的に自分の意見を出しやすく、コミュニケーションがとりやすくなっています。竹中先生は明るくチャーミングで、学生に寄り添いながら指導してくださいます。

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