社会学部
アドミッション・ポリシー
受験生へのメッセージ
自らの視野を狭めることなく、
深掘りしていく分野を見つけてほしい
秋山 晋吾教授
社会学部長・社会学研究科長
一橋大学の社会学部は、社会学をはじめ、国際社会学、哲学・思想、言語文化、社会心理学、人類学、地理学、教育学、政治学、スポーツ社会学、社会政策、歴史学、ジェンダー研究等といった社会科学と人文科学のさまざまな専門分野を学ぶ学部です。そのため、ここでいろいろなことを学ぼうという意欲をもつ学生たちが入学してきます。混沌とした現代社会の諸問題を考えるには、多角的に問題にアプローチするための広い知識が必要ですので、こうした意欲をもつことは不可欠ですし、私たちはまさにそうした学生たちを待っています。しかしながら、「いろいろ学べる」ということは、「迷子」になってしまう恐れもあるということでもあります。ですから、社会学部を目指す皆さんには、視野を広くもってさまざまなことに挑戦しながら、突き詰める何か、それは具体的な社会問題でもいいし、考察するための専門の学問分野でもいい、そうした何かを見つけようという意欲もあわせて携えてきてほしい。高等学校での学びを、現代社会の複雑性のなかに位置づけながら勉学に取り組んでいけば、それはおのずと見えてくるでしょう。
受験前、入学前であっても、世界で何が起きているのかを知ること、それを意識することはできます。そうした意識を持つことで、入学後に本学部のさまざまな教員が持つそれぞれの専門的な知見に自分の意識や関心が接続し、皆さんのなかで化学反応が生じるはずです。社会学部では、入学直後の1年次には分野横断的な授業が多く、学生はそこでいろいろと模索することになりますが、自分の横には同じように試行錯誤をする仲間がいます。彼女ら、彼らも同じように幅広い関心と問題意識を持って社会学部の門をくぐってきたのです。その仲間たちとともに、自らの視野を狭めることなく深掘りしていく分野を見つけてほしい。私たち教員はそれを後押しします。
もう一つ、社会学部を目指す学生、本学で学ぶ学生に対しては、社会の多様性を認識することを大事にしてほしいと思います。自分の意見は、それ以外の意見があることを踏まえたうえではじめて意味を持つからです。そのためにも、自分とは異なる意見にもアクセスしてほしい。コロナ禍で窮屈な思いをすることが今もあると思いますが、海外留学など大学生の間に経験できるたくさんのことが皆さんを待っています。積極的にトライしてほしいと願っています。
学部概要
多彩な開講科目、個性的な教員を擁する、社会科学の総合学部
一橋大学の社会学部は、国立大学法人の中でただひとつの社会学部です。その英訳名Faculty of Social
Sciencesが示すように、社会諸科学の幅広い総合を目指す「社会科学の学部」であり、「社会学(ソシオロジー)」に限定された学部ではありません。もちろん社会学は多様で広範な領域を含み、社会学部の大きな柱のひとつですが、社会学部ではそれ以外にもたくさんの学問を学ぶことができます。
もともと商法講習所以来、一橋大学は、商学や経済学を起点としながらも、社会や人間、歴史や文化といった多様な領域に目を向けることで、常に広い視野をもち多様なアプローチを通じて問題に取り組むという独自の学風を作り上げてきました。「社会科学の総合」という本学の理念を象徴するこの独自の学風を、社会学部は研究・教育におけるもっとも大切な要素として受け継いでいます。
社会学部の組織は6つの研究分野(社会動態、社会文化、人間行動、人間・社会形成、総合政策、歴史社会)をベースに編成されており、教員はそれぞれの研究分野に属して教育研究活動を行っています。多彩な開講科目、個性的な教員、少人数のゼミナールによる濃密な教育が社会学部の最大の特徴であり、他学部に比べて教員や学生が多様性に富んでいることも特色です。
小冊子『社会学部履修ガイド』には、多彩な講義群からの履修方法について、アドバイスが満載されています。
国際的に開かれた社会学部は、教員も学生も海外とのつながりが深く、外国人留学生や、在学中に留学する学生がたくさんいます。
「グローバル・リーダーズ・プログラム」に参加して、外国語力に加え地球規模の課題の解決力を鍛えることもできます。また、学部・大学院(修士課程)を5年間で修了できるプログラムもあります。
社会学部は総合性、専門性、人間性、国際性といった基盤的能力の育成を通じて、企業人、公務員だけでなく、ジャーナリスト、教員、研究者など、多方面で活躍する人材を数多く輩出しています。
社会学部は現実への批判的関心と、旺盛な知的好奇心を持つ、個性的な学生を歓迎します。
卒業生から
豊富なカリキュラムだからこそ養えたジャーナリズム精神
『大学案内2023』より
佐古田 麻優
2015年 社会学部卒業
ロイター通信
一橋大学を志したきっかけは、兼松講堂と図書館の大閲覧室の雰囲気に魅了されたからでした。当時の自分は明確な将来の夢を持っていませんでしたが、大学の豊富なカリキュラムのおかげで、3年次には具体的なキャリアを思い描けるようになりました。
現在は外資系通信社で記者として働いていますが、大学時代の学びが今に繋がっていると感じることが多々あります。ジャーナリズムでは社会で起きる様々な出来事を多角的に見つめ、中立的・批判的に分析することが求められるため、社会学部で幅広い学問に触れ、クラスメイトと議論を重ねた経験が今に活きていると感じます。
学部以外にも、海外留学制度で体験したマイノリティとしての立場、如水会寄付講義で得た人生経験豊富な先輩講師の知見、学部の垣根を超えた履修プログラムなど、一橋大学が与えてくれた環境によって、知的好奇心が掻き立てられ、多様な観点から物事を考える力を養うことができました。
学生生活に葛藤と紆余曲折はつきものですが、今振り返ってみると全ての経験に意味があったのではないかと感じています。学問のほかにも、部活・サークル活動やバイトなどに熱中するのも有意義な時間となるでしょう。固定観念にとらわれず、恵まれた環境を大いに活用し、それぞれの道を切り開いてください。
一橋大学で私が得たもの
『大学案内2022』より
金森 優太
2015年 社会学部卒業
キリンビール(株)
私は現在キリングループで働いていますが、そのきっかけになったのは、体育会剣道部でのOBOG訪問です。毎年、先輩方に部の活動報告のため、各企業を訪問するのですが、大学1年のときに伺ったのがキリングループでした。そのときにお会いしたキリンの先輩方の優しさ・温かさを忘れることができず、就職活動でもキリンを志望し、入社することになりました。私は部のつながりをきっかけに就職しましたが、一橋大学は規模が小さいため、直接的なつながりがなくとも先輩方は皆親身に接してくださいます。そのようなつながりを得られることは、一橋大学の大きな魅力です。
またゼミでは、国際社会学を専攻し、アイルランドの移民研究を行っていました。一つのテーマについて、徹底的に調べて、考え抜き、文章にまとめるという経験は、今の業務にも大いに役立っていると感じます。課題を設定し、仮説検証を行って、真の要因を明らかにすることは、ビジネスにも大いに通じるものです。ゼミや講義での学びがなければ、社会人になって多くのことで躓いたであろうと思います。一橋大学は、勉学・研究に没頭できる恵まれた環境が整っています。自らが解き明かしたい課題を見つけ、その研究にぜひ身を投じてみてください。