ゼミ紹介

『大学案内2024』より

社会学部 宮本ゼミ「社会・文化心理学」
他者や自らの社会的・文化的立脚点を解き明かす

宮本 百合 教授

宮本 百合 教授

京都大学人間・環境学研究科修士課程修了。ミシガン大学心理学Ph.D.。ウィスコンシン大学マディソン校助教授、准教授、教授を経て、2020年より現職。専門は社会・文化心理学。国際文化比較、行動指標・生理指標などを用いた行動実験や調査を通じて、社会・文化的文脈が、人間の心や身体に与える影響を研究。

ゼミ風景

魚は水の中でしか生きられません。しかし魚にとって、水の存在はあまりに当たり前であるため、海水から淡水といったように水の性質が変わりでもしない限り、水の存在に気づくことはないでしょう。人間にとっての文化というのは、魚にとっての水のような存在です。当たり前だと思っていたことが、異なる文化に接することで、初めて特定の文化的基盤の上に成り立っていたことに気づくことがあります。
私たちのゼミでは、社会・文化心理学について学んでいます。社会・文化心理学という分野は、社会的・文化的環境が人間の心や行動に与える影響を研究する分野です。特に文化心理学では、異なる社会や文化的文脈を比較検討することで、心の社会的・文化的基盤を解き明かそうとしています。ここでの社会的・文化的文脈とは、日本と米国といった国に限らず、異なる地域や組織、社会階層などの様々な社会・歴史・生態学的環境も含まれます。
ゼミでは、社会・文化心理学の文献について輪読・議論する中で、様々な知見や手法についての知識を深めてもらい、また統計的手法についても学びます。さらに、海外の研究者と交流する機会も積極的に設けています。ゼミ生の中には、帰国子女や海外からの留学生など、国際経験が豊かな学生もいれば、日本国内で様々な社会・文化的環境の中で暮らしてきた学生もいます。ゼミでの議論を通じてお互いの視点から学びあうことも多いですし、私自身も多くのことを学ばせてもらっています。これらの経験や学びを通じて、各自が卒業論文で行う研究計画を具体化していってもらいます。
グローバル化が進展する中で、自分とは異なる文化や歴史的背景を持つ人たちと共存していくことが求められています。そのためには、他者の文化への理解を深めると共に、自らの考え方が立脚する文化的・歴史的基盤を理解することも不可欠です。このゼミでの経験や学びが、その一助になることを期待しています。


水上 栞菜

水上 栞菜

社会学部4年

宮本ゼミでは「文化心理学」について学んでいます。文化心理学とは、行動や価値観の文化による差を研究することで人間の心を明らかにしようとする学問です。
ゼミでは、3年生は論文の輪読を通じて文化心理学の基礎を学びます。疑問に思ったポイントを皆で議論するので、多様な考え方に触れながら理解を深めることが出来ます。4年生は卒業論文に取り掛かります。私はコロナ禍での日本人のマスク着用理由について研究していますが、テーマ選定にあたっては先生から多くの助言を頂きました。広い視野を持つ宮本先生が親身に相談に乗ってくださる環境は、このゼミの大きな魅力です。
私は日本生まれ日本育ちですが、留学生や帰国子女など様々な背景を持つ学生と議論する中で、思いもよらない発見が多々あります。文化について考えることは、自分を相対化して見る機会にもなります。この視点は、どこに行っても役立つものだと感じています。

ABOUT

一橋大学について