ゼミ紹介

『大学案内2022』より

社会学部 鈴木ゼミ「スポーツと社会変革」
スポーツ、遊び、「楽しいこと」が社会をひらく

鈴木 直文 教授

鈴木 直文 教授

2007年グラスゴー大学大学院博士課程修了(PhD)。東京大学大学院工学系研究科助教を経て2010年より本学。特定非営利活動法人ダイバーシティサッカー協会代表理事。主著に『社会(スポーツ)をあそぶガイドブック』(編著、2018、ビッグイシュー基金)、『スポーツと国際協力』(編著、2015、大修館書店)など。

ゼミ風景

みなさんは「遊ぶ」のが好きですか?受験勉強をしていると「遊んでる場合じゃない!」と、自分に言い聞かせて机に向かうこともあるでしょう。そしてきっとこう思っているのではないでしょうか。「受験が終わったら、思いっきり遊ぶぞ!」と。みなさんは「遊べない」ことの苦しさも、「遊べる」ことの素晴らしさも知っている。受験が終わっても「自由に遊べない」状態が続くとしたら、なんと息苦しいことでしょうか。
実は世の中には「自由に遊ぶ」ことを、著しく制限されている人たちがいます。働けど働けど生活ギリギリの収入しか得られないワーキングプア状態なら、経済的にも時間的にも「遊ぶ」余裕はありません。シングルマザーが子どもを置いて遊びに出ていたというだけで、凄まじいバッシングを受けたりすることもあります。あるいは、ひきこもりや不登校の若者たち。彼らは一見「自由な時間」を手に入れているけれど、「学校にいかないで遊んでいる」という非難の目から自由になることは容易くありません。
このように「遊ぶ自由」というテーマは、経済的な不平等や社会的な偏見や差別といった社会問題に直結しています。私自身は、たとえば「野武士ジャパン」というホームレス状態を経験した人たちのサッカーチームを運営したり、彼らと一緒に、うつ病、ひきこもり、薬物依存症、児童養護施設出身といった多様な「社会的困難」を抱えた人たちのフットサル大会「ダイバーシティカップ」を開催したり、といった実践的な研究をしています。ゼミ生のみなさんにも、こうした活動になるべくボランティアで参加してもらうなど、「現場をみる」ことを推奨しています。
Playfulness for All(もっとみんなに遊び心を)̶。もっと自由に遊べる社会を実現できたら、きっと不平等や差別の問題もよい方に向かうはず。そんな社会を想像しながら、ともに「学ぶことを遊ぶ」仲間を待っています。


山下 達玄

山下 達玄

社会学部4年

私たちのゼミでは、「楽しいことを通じた社会的包摂」をテーマに、スポーツを通じた「楽しい」社会作りについて学んでいます。普段のゼミの学習では、課題図書を読んでゼミ生がレジュメを作成し、持ち寄った論点について全員で真剣に議論することもあれば、時には教室を飛び出して現場に赴くこともあります。昨年度は、「仲間はずれを生まないスポーツ」のイベントや、社会的困難を抱えた人たちを支援するサッカープログラムの企画・運営といったプロジェクト活動に実際に参加しました。このように、形式にとらわれない実践的な学びを通して、普段の大学の授業では学べない体験を積むことができるのが魅力です。鈴木先生のフレンドリーなお人柄もあって、先生とゼミ生の距離が非常に近く、和気あいあいとした雰囲気でのびのびと学ぶことが出来ています。このゼミで得た人との繋がりは、卒業後も続くかけがえのない財産になる、と確信しています。

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