ゼミ紹介

『大学案内2026』より

法学部 市原ゼミ「国際関係論・国際政治学」
理論学習を通じた、国際政治の因果分析

市原 麻衣子 教授

市原 麻衣子 教授

East Asia Democracy Forum運営委員長。World Movement for Democracy、日本ファクトチェックセンターの運営委員も務める。専門は国際政治学、民主化支援、日本外交、影響工作。米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学研究科博士課程修了(Ph.D.)。著作に、“Japanese Democracy After Shinzo Abe,” Journal of Democracy 32-1 (2021); Japan's International Democracy Assistance as Soft Power: Neoclassical Realist Analysis (New York and London: Routledge, 2017)などがある。

ゼミ風景

国際政治は多層的な変化の局面にあります。米国のパワーが相対的に弱まり、米中を中心とした新たな地政学の時代に突入しました。加えて、かつては国家間における軍事力を中心としたパワーポリティクスが主流だったのに対し、現在では情報の役割が高まり、様々なアクターが情報を駆使して国際政治に影響を及ぼすようになりました。規範のあり方も変化し、人権を守る自由な社会を強化していこうという動きが各国で弱まっています。
本ゼミでは、このように重要な変化の局面にある国際政治を、理論、トピック、方法論の観点から学修します。3・4年生合同で、ゼミ生が主体となった活発な議論を展開しています。
第一の柱となる理論学修は、国際政治事象を理解するうえでの枠組みを提供してくれます。また、因果関係をどのように分析し、分析結果をどのように抽象化して一般化可能な知識にできるかを学ぶことで、自らが行う分析にもこれを適用することができるようになります。第二の柱は、トピックごとの学修です。ゼミ生の関心に合わせてテーマを選択し、学びを深めます。そして第三に、国際政治の分析方法について学びます。どのように分析すれば社会科学として科学的な分析ができるかを知ることで、自らの論文に活かすのみならず、学問のあり方についても考察を深めます。
ゼミの特徴の一つは、教科書でなく研究論文を課題文献としていることです。教科書は情報提供のツールでしかなく、読者に期待されるのは単に執筆内容の理解・吸収に過ぎません。これに対し、研究論文は既存の議論に挑戦し、新たな学術的貢献を試みるものであり、読者には、当該論文が突き付ける挑戦の妥当性、その内容が学術的貢献となっているか、どのような問題が残っているかなどを検証することが求められ、批判的に読むことが要求されます。従って、研究論文を課題文献とすることで、分析能力を養うことができます。
あなたも本ゼミで、一緒に国際政治の分析能力を鍛えてみませんか?


石崎 晃希

石崎 晃希

法学部4年

市原ゼミでは国際政治を研究しており、ゼミの時間には主に課題文献の輪読と卒業論文の研究発表を行っています。3年生と4年生が同じ時間帯にゼミを実施しているため、多様なメンバーによる活発な議論が毎回展開されています。市原先生は人権や民主化支援、影響工作などがご専門ですが、輪読で扱う文献はそれらの分野に限らずバラエティに富んでいます。例えば、2024年度は国際政治理論や研究手法、国際政治経済、情報戦、対外政策などにも触れました。ディスカッションの終盤には市原先生からのフィードバックをいただけるため、文献への学びがさらに深まります。
卒業論文の計画には3年生のうちから取り組みます。早い段階から市原先生や他のゼミ生のアドバイスを反映させることで、幅広い視点を取り入れた卒業論文を執筆できます。過去に市原ゼミをご卒業された先輩方は民間企業や官公庁、国際機関、大学院など様々な分野でご活躍されています。

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