ゼミ紹介

『大学案内2025』より

法学部 酒井ゼミ「商法・会社法」
会社法の一から十までを知る。

酒井 太郎 教授

酒井 太郎 教授

1995年一橋大学法学研究科博士後期課程単位取得。修士(法学)。熊本大学助教授、スタンフォード大学ロースクールおよびUCバークレー・ロースクール客員研究員などを経て、2013年より現職。公認会計士試験委員、司法試験考査委員など歴任。著書に『会社法を学ぶ』(有斐閣、2016年)ほか。

ゼミ風景

このゼミでは、キャッチコピーにあるように、非常に大きくて複雑な体系を持った会社法の全容をつかみ取るという、一人では実現するのが難しい目標に皆が協力しながら挑戦します。
会社は経済活動の立役者であり、誰もが接点を持つものでありながら、組織と活動の原理がなかなか見えづらいものでもあります。会社が営む事業は無数にあり、規模も、個人または家族が経営する小規模なものから、全世界に展開する巨大上場会社まで大きく異なります。そうした会社において、出資をする人や企業、会社の事業活動を遂行する経営者、会社と取引をする他の企業の様々な利害は複雑に絡み合っています。この状況で発生する法的紛争を如才なく解決する役割を任されているのが、会社法です。ここに「如才なく」というのは、条文が定めるルールを守らせることを目指しつつも、企業活動の自由と円滑を損なわないようにするため、経済的合理性に基づいた処理を、ときにはルールの実現よりも優先したりすることが意識されています。上にある「組織と活動の原理が見えづらい」のも、法的側面についていえば、会社法が持つこの柔軟性に影響を受けています。
会社法の諸制度を個別に見ていっただけでは、紛争の諸局面において会社法が発揮する柔軟性を体系的につかみ取ることは難しいでしょう。会社法の背後にある哲学というものは、結局のところ、巡礼者のように各制度の学習を遍歴して、今まで学んだものと新しく学んだものとを比較し、互いに組み合わせたり重ね合わせたりしないと、見えてこないのです。このゼミナールは、私を助言者として会社法という未知の大陸の踏破行に挑もうとする人々から構成されます。そして、これが成し遂げられたとき、各制度の相互のつながり方や系統とともに、全体を貫く理念が会得されることとなります。その学びの経験が、企業や経済の今後の趨勢を見極める上でも役立つことは、いうまでもありません。


岡部 鷹乃伸

岡部 鷹乃伸

法学部4年

酒井ゼミは「会社法」のゼミナールです。会社法は1000近い条文からなり、入り組んで複雑な法律です。改正も頻繁に行われており、学習の難しい法律の一つだと思います。
ゼミではそんな会社法の基礎の部分から学び始めます。3年生の間は会社法の内容について、他のゼミ生と協力しながら学習・調査・報告をします。理解の難しい部分や重要な部分は先生も丁寧な説明を加えてくれます。4年生からは3年生の間の学習を活用して、近年の裁判の判決に触れ、その判決が会社法の解釈にどんな影響を与えたのかを調査・報告しながら、特に自身の関心ある分野について卒業論文の執筆に取り掛かります。
会社法の学習は一人では難しかっただろうと思います。膨大な条文や複雑な構造も、自分で報告準備をしたり、ゼミの仲間が整理してくれた資料を読んだおかげで理解が深まりました。関心ある事柄の学習に集中できる環境があることがゼミの魅力です。

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