ゼミ紹介

『大学案内2023』より

法学部 土井ゼミ「行政法」
行政法を通じて知性を鍛える

土井 翼 准教授

土井 翼 准教授

2012年東京大学法学部卒業、2014年同法科大学院修了。東京大学大学院法学政治学研究科助教及び特別講師を経て、2018年一橋大学大学院法学研究科講師、2020年より現職。専門は行政法。主著として、『名宛人なき行政行為の法的構造―行政法と物の法、序論的考察』(有斐閣、2021年)。

ゼミ風景

私たちのゼミでは行政に関わる法、行政法について学んでいます。皆さんは意識したことがないかもしれませんが、私たちの日常は行政法に囲まれています。朝起きて顔を洗えば水道法やガス事業法、朝ごはんを食べれば食品衛生法や景品表示法、外に出て道路を歩けば道路法や道路交通法、国立市を走る大学通りを眺めれば(特に春がおすすめ!)都市計画法や景観法、大学に到着すれば学校教育法や国立大学法人法……
とはいえ、私たちの日常が物理現象の積み重ねだからといって誰もが物理学を専攻しようと思うわけではないのと同様に、いくら日常生活と行政法が密接に関わるからといって、行政法を勉強しようという意欲に燃える人ばかりではないでしょう。むしろそういう人は奇特と呼ばれるに値します(もちろん、奇特な人間の一人として、仲間が増えることは大歓迎です)。
そこで私たちのゼミでは、行政法の学修を目的にはしていません。むしろ、これを手段として、知的な思考に耐える力の修得を目指しています。そうした能力を得る方が単に行政法に詳しくなるよりもよいことは明らかです。伝統的にはギリシャ語やラテン語を厳密に読む訓練を通じて、理解しにくいものを何とか全体的に把握する能力が育まれてきました。文法などについてじっくり考えなければ理解できない文章を読むことで、およそ物事を考える力を鍛えるということです。そうだとすると、日本語で書かれた訳の分からない法律や学術書でもある程度はこれと同じような訓練ができるかもしれません。
こうした発想に基づき、私たちのゼミでは、行政法や憲法に関するさまざまな文章を読んできました。最初のうちは「国が決めたことや偉い先生の書いた論文の欠点を見つけるなんて無理だ」と言っていた学生の皆さんも、徐々に法律、裁判所の判断、研究者の論文について建設的な批判ができるようになっていきました。若い知性の可能性は無限大だと常に感じています。


坂上 航太郎

坂上 航太郎

法学部3年

土井ゼミでは「行政法」について勉強しています。「行政法」と言っても憲法や民法の様にその名の法律があるわけではなく、行政手続法や地方自治法などの行政に関わる法律をまとめてそう呼んでいます。そのため、ゼミ生それぞれが興味のある分野や法を見つけ、判例評釈や論文研究を通して勉強しています。もちろん、最初から興味のあるものを見つけるのはとても難しいのですが、行政法は幅広い物事と関わりがあるので、何に興味があるのか掴めない人も様々な判例や法律を見て、卒論に向けて研究するテーマを考えることができる懐の深さを持っている法分野であると思います。
土井先生は、発表内容に悩んだときや質問がある際には親身に相談に乗ってくださる先生です。ゼミでの議論においても学生が行き詰った際にはヒントや関連項目を提示してくださるため、学生は考えを深めることができています。このような素晴らしい先生と幅広い分野が土井ゼミの魅力です!

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