ゼミ紹介

『大学案内2023』より

経済学部 真野ゼミ「開発経済学」
見て、調べて、考えて、目指す世界の実現へ

真野 裕吉 准教授

真野 裕吉 准教授

2007年シカゴ大学経済学Ph.D.。サハラ以南アフリカ(エチオピア、ケニア、ウガンダ、ガーナ、コートジボワール、セネガル)や東南・南アジア(フィリピン、ベトナム、バングラデシュ)で現地調査し、貧困削減、農業発展、産業発展、教育や保健医療サービスへのアクセス改善などを研究。

ゼミ風景

世界では7億人以上が1日1.90ドル以下で暮らしています。働いても食事がままならず、医者に診てもらえず、学校に通うのも難しい。政府や国際機関、NGOなどの支援にも関わらず、コロナ禍で状況は悪化しています。
とくに人口が急増するサハラ以南アフリカでは貧困削減と食糧安全保障の改善が課題です。1960年代に同じ課題に直面したアジアでは高収量なコメの開発と肥料の組み合わせで、生産性向上(緑の革命)を実現し、多くの命が救われました。しかし、現代のアフリカで高収量品種と肥料を支援してもうまくいきません。なぞを解明すべく現地に赴くと、農家は凸凹な低湿地に種子を投げ入れていました。水田作りや田植えなど、アジアでは当たり前の稲作技術を知らなかったのです。専門家が技術を教えたところ、コメの生産性や所得が増えることがわかってきました。
開発経済学の大切な役割は、人々の状況をよく理解し、どんな介入をどの順番で実施すると効果的に貧困削減できるのか、開発戦略をつくり、世界に共有することです。このゼミには貧困や教育に関心を持ち、研究者や国際機関などで開発実務家として働くことを目指す者もいます。ゼミは学生が主役で、調べたことや考えをみんなで議論します。興味のあるテーマを見つけ、授業で教わった知識や分析手法を用い、資料を調べ、考えます。また、フィリピンなどで合宿すると、自分の目で見て確かめることの大切さを痛感するようです。成長はめざましく、3年次のグループ研究や4年次の卒論を仕上げる頃には、自分で課題を見つけ、考え、答えを導きだせる、頼もしい人材に育ちます。
大学は、人生でやりたいことを見つけ、それを実現するために、自分と向き合い、自由に学ぶところです。在学中に見つかる人もいれば、卒業してから出会う人もいます。そのとき、このゼミで身につけた勉強の仕方がきっとあなたの夢の実現に役立つと思います。


金丸 晴香

金丸 晴香

経済学部4年

真野先生のゼミでは、データをもとに途上国の経済を分析する開発経済学を勉強しています。私は過去のボランティア経験から関心を持った「子供の貧困」について学びたいと思い、このゼミに入りました。
ゼミでは、3年次にグループ論文に取り組みます。グループで活発に議論を交わしながら進めていくので、多様な考え方に触れ、視野を広げることができます。この学びを活かし、4年次には卒業論文に取り掛かります。私はエチオピアの児童労働と法律の効果について研究しています。先生のきめ細やかなご指導やゼミ生との議論のおかげで、数値を見るだけでは分からない現状が見えてきました。見過ごしがちな部分や数字の裏に隠された実情を読み解き、先生やゼミ生と共に問題を掘り下げていける点が、このゼミの大きな魅力の一つだと感じています。ここで身につけた、表面的な部分に囚われず自分で答えを追求していく力は、将来どの道に進もうと役立つと思っています。

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