ゼミ紹介
『大学案内2025』より
商学部 軽部ゼミ「イノベーションの経営学」
革新的企業家活動から社会変化を捉える
軽部 大 教授
1998年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。2017年より現職。組織学会高宮賞、日本経営学会賞、日経・経済図書文化賞、等を受賞。農林水産業からディープテック産業、個人から大企業まで、多様な個人、集団、組織が担い手となる革新現象に関する理論・実証研究を行う。趣味は料理。
起こる前には「あり得ない」。起こった後には「当たり前」。これがイノベーションと呼ばれる革新現象の特徴です。画期的で新しいアイデアがどのように誕生し、結果的に世の中の人々になくてはならないものとなるのか。一連の変革現象を経営学の視点から解明していくのが、軽部ゼミの基本的な学習・研究テーマです。
イノベーションの経営学は、経営学の応用分野であるため、商学部で提供される基本的な科目を履修した上で、ゼミに参加してもらっています。また、イノベーションという革新現象は、歴史を見る眼や社会制度の変化を捉える視点も必要となるため、学生には広く他学部の関連科目を履修するようにもアドバイスしています。3年生は社会科学の基本的な方法論を定性的手法と定量的手法の両面から扱う日本語・英語の書籍・論文を輪読し、4年生は各々の関心に応じて卒業論文執筆に向けた個別研究を進めています。
卒業論文の研究テーマは、学生による主体的な選択を大事にしています。そのため、多くの人は、必ずしもイノベーションの経営学という私の専門の枠に留まらない、人々の協働を通じた多様な革新的過程がどのように起こるのか、について幅広く研究しています。
研究の成果は、下級生と合同で発表会を行うだけでなく、他大学のゼミとの合同研究発表会でも共有します。コロナ禍で対面での実施が難しかったゼミ合宿も久しぶりに実施しました(写真参照)。企業と共同で新規事業開発のプロジェクトも推進しています。
軽部ゼミのもう一つの特徴は、ゼミの学生の1/3程度が毎年大学の協定校制度を使って世界各地に留学している点です。北米、欧州、アジアとその留学先は極めて多様です。ひとえに如水会と呼ばれる卒業生の方々のご支援の賜物です。一回限りの人生ですから、臆せず知らない世界に飛び込んで欲しいと思っています。皆さんとキャンパスで会えることを楽しみにしています。
山田 梨央
商学部4年
商学部のゼミは、経営・マーケティング・金融・会計の分野に分かれていて、軽部ゼミは経営にフォーカスしたゼミです。先生の専門領域はイノベーションマネジメントですが、比較的研究領域の自由度が高いのが特徴です。
3年次には、4年次の卒論執筆に必要な考え方を学ぶために輪読を行います。授業では、質疑応答や議論の後に先生から講評をいただくのですが、議論の中で得られる新たな視点からは多くの刺激を受けます。
4年次には卒業執筆に向けた発表を行います。先生が発表後に的確なアドバイスを下さるので、毎回成長を感じることができます。また、SSPやDDPなどのプログラムに参加している学生や海外経験のある学生が多いため、研究が行き詰まった時には多様なバックグラウンドをもつ仲間のアドバイスが研究を前進させてくれることも少なくありません。
ゼミで先生や仲間とともに試行錯誤を重ねながら研究を進めるという経験は、今後様々な場面で役立つものであると感じています。一人では得難いこの貴重な経験を大切にしたいです。