ゼミ紹介

『大学案内2024』より

商学部 中島ゼミ「統計的実証分析」
データから社会のあり方を考える

中島 賢太郎 准教授

中島 賢太郎 准教授

2008年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。一橋大学経済研究所准教授、東北大学大学院経済学研究科准教授などを経て、2017年より現職。スマートフォンGPSデータや衛星画像データから歴史的データまで、幅広いデータを用いて都市・空間・イノベーションに関する統計的実証研究を行う。

ゼミ風景

私たちのゼミでは、統計的実証分析を学んでいます。統計的実証分析とは、統計学の技術を使って、データから仮説を検証するというものです。データは漫然と眺めるだけでは何も理解できません。自分がぼんやりと抱いている疑問を、商学部、あるいは他学部の講義で学んできた様々な理論の力を借りて検証可能な仮説として構築し、その仮説を検証するのに適切なデータを収集し、適切な方法で分析することで、初めてデータは意味のあるメッセージを発してくれます。私たちのゼミではそのような技術を学んでいます。
3年次は統計的実証分析の方法論を学び、統計的実証分析を自分たちで行うための知識を導入します。そのうえで、グループ研究を行います。分析の成果は、他大学のゼミと合同で研究発表会を行います。4年次は卒業論文の執筆を行います。
私たちのゼミではこれまで幅広いテーマの研究が行われてきました。企業買収が企業価値や生産性に与える影響など、商学部の学生として王道のような研究を行う学生も多くいる一方で、学生独自の視点からのユニークな研究も多く行われています。例えば、建築に関心のある学生は、オフィスのレイアウトが創造性に与える影響について、建築雑誌からオフィスのリノベーションの事例を集め、図面からレイアウトの特徴を丹念にデータ化し、創造性を特許の出願件数で測定することで分析しました。あるいはブレイクダンスの大会の演技と評価をデータ化し、評価における様々なバイアスの有無を検証した学生もいました。このような学生独自の視点には驚かされることが多く、私自身がゼミをとても楽しんでいます。
私たちのゼミでは、プログラミングのように、すぐに役立つ技術を身につけることができます。しかし、むしろ、このゼミで身につく、ぼんやりとした大きな問題意識を、検証可能な仮説に落とし込み、自分で検証することができるという能力こそが、卒業後も長く役に立つものだと思っています。


山下 弘喜

山下 弘喜

商学部4年

中島ゼミでは、統計学・プログラミングの基礎を学んだ後、グループや個人で実証研究を行います。ゼミ生が取り扱うテーマは多岐にわたり、特許や株価分析のような商学部らしいテーマの他、教育、公衆衛生、エンタメなど全く異なる分野を選択する人も。そのため、毎週月曜のゼミでは、実に様々な分野の用語が飛び交います。
2年間にわたる、長く濃いゼミ生活。一つ一つの研究に真摯に向き合うことで、私たちゼミ生は、考え方を考え、学び方を学びます。自らの関心に基づいてテーマを設定したら、工夫してデータを集め、分析にかけ、結果を整理し、プレゼンや論文にまとめ上げる……。データを用いた仮説検証のこの一連の流れを、繰り返し経験できます。
もちろん、研究が行き詰まったり、プログラミングで悩んだりすることもありますが、そんな時にはいつも、メガネの似合う優しい中島先生が丁寧に指導してくださいます。じっくり学びたい人に最適なゼミです。

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