史上初の「オンライン一橋祭」開催

2021年1月20日 掲載

「オンライン一橋祭」の写真

新型コロナウイルス感染症拡大で、各大学とも授業のオンライン化をはじめ、部活動やサークルなどの課外活動も大きな制約を受けている。そうした中、2020年11月21日(土)~23日(月・祝)、本学史上初のオンラインによる一橋祭が開催され、多くの視聴者を集めた。その経緯や今後の展望などについて、学生担当副学長の稲葉哲郎教授と、一橋祭運営委員長の東谷魁さん(法学部3年)に話を聞いた。

稲葉哲郎教授の写真

稲葉哲郎副学長

コロナ禍の下、現在(12月4日時点)での一橋大学の活動指針は、学生の課外活動に厳しい制約を課している。

「そういう状況ながらも、各部活動やサークルの状況をヒアリングしたうえで、学生支援課と連携しながら可能な限り対応している。屋外で行う体育系の部については基本的に活動を許可しているが、室内で実施されるなど密になりやすい文化系の活動については、現時点では許可できていない。学生の健康および学内でのクラスター発生阻止を第一に考えたためだが、学生にとって課外活動は勉学とともに非常に重要な意義があるため、大学としては制約せざるを得ないことを歯痒く感じているのが現状である」と稲葉副学長は話す。

このような状況下で、一橋祭の開催をどうするかが大きな問題となった。6月に開催を予定していたKODAIRA祭は、緊急事態宣言下での検討だったこともあり迷うことなく中止が決まっていた。「しかし、秋の一橋祭については伝統を持つ重要行事の一つであり、一橋祭運営委員会ともやり取りしながら慎重に議論を重ね、オンラインで行うことを許可した」(稲葉副学長)という。開催許可に至った要因は、一橋祭運営委員会の学生らの熱意と、安全を重視した取り組みだった。

「懸念されたポイントとしては、前述のとおり体育系以外の文化系部活動やサークルには全て活動休止を求める中、文化系サークルの一つでもある一橋祭運営委員会の活動のみを認めるのは不公平ではないかという点だった」と稲葉副学長は打ち明ける。そこは、一橋祭は各活動団体の成果を発表する場であるという点に鑑み、各団体に理解を求めた形だ。

今後については、すべてはコロナの状況次第といえる。「しかし、段階的に学生活動が正常化していくことを願う。このままの状況が続くと、今年の1年生同様に来年の1年生もキャンパスと離れながら学生生活を行うことになる。その際は、大学との心理的距離を埋めるためにオンラインを使ったイベントを開催するなども検討していきたいと思う」と稲葉副学長は指摘する。

一橋祭運営委員長 東谷魁さん(法学部3年)

東谷魁さんの写真

一橋祭運営委員長 東谷魁さん

例年、一橋祭運営委員会では開催1年前から準備を進めております。今年は途中の4月に緊急事態宣言が出され、一時は一橋祭の開催についても検討を迫られました。しかし、委員会の一存で各団体の発表の場を奪ってはいけないと考え、オンラインでの開催も視野に入れつつ、実地開催の際の感染防止対策などをよく検討したうえで大学側と交渉を続けてまいりました。その結果、実地での開催こそ叶いませんでしたが、オンラインでの開催を認めていただきました。

初のオンライン開催までは時間が限られていて、そのうえ委員会のミーティングはリモートで行ったため大変でした。特に苦慮したのは、大規模な展示や飲食系の模擬店といった実地でなければ実現不可能な団体の扱いです。そこで、「メインチャンネル」のほかに別途「新歓企画」という新たな発表形態を設けました。これは、一橋祭への参加の窓口を広げるとともに、自団体の魅力を新入生に伝えていただくことを狙ったものです。
また、一橋大学は文系の大学ということもあり、委員会にもネットを活用したライブ配信などの技術的なノウハウがありませんでした。そこで、委員が基礎から勉強し、参加団体へのフォローアップに努めました。

第51回一橋祭 webサイト

第51回 一橋祭公式ウェブサイト

こうして結果的に3日間でメインチャンネル18団体31イベント、新歓特設チャンネル59団体の参加を得て開催に漕ぎつけました。シンポジウム企画では、例年100~200名ほどの来場者数のところ、その4~5倍の視聴者を集めることができました。一橋祭は、国立という都心からは少し離れた場所で行われるため、例年ならご来場いただけなかった方でも、気軽にご自宅から視聴・参加でき、一橋祭の魅力を今まで以上に遠方の方まで伝えることができたと思います。しかし、オンラインで行うメリットができた一方で、参加団体のオンライン対応への心理的・物理的ハードルの高さや委員会の機材・配信トラブルといった改善点も見つかりました。さらに、配信中に視聴者が離脱したデータではコンテンツのどこに問題があったかも把握できます。こうした点を来年度に活かして、今後も委員一同、より充実した一橋祭の開催に向けて尽力していく所存です。

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