学園祭委員が制作・編集する『黄本』『秋本』で受験生を応援

KODAIRA祭・一橋祭 受験生応援企画
2021年9月28日 掲載

1年の中で最も賑わいを見せる大学行事といえば、学園祭である。コロナ禍以前では、キャンパスにはさまざまな模擬店が立ち並び、学業の成果をアピールする絶好の機会でもある。多くの来場者を迎えて開催されるが、どちらかといえば、企画・運営する学生が自ら楽しむイベントという印象が強いのではないだろうか。一方で、一橋大学の学園祭では、その位置づけは少々異なる。受験生を主役として支援する機会でもあると考えているからだ。実際、開催期間中は『受験生応援企画』と題したサポートが、学園祭の委員会に所属する学生によって行われている(文中敬称略)。

一橋受験生の間で語り継がれる"合格のバイブル"とは?

サポートの具体例を紹介する前に、一橋大学の学園祭について説明しておきたい。
一橋大学では、国立キャンパスで学園祭が年に2回開催されている。例年6月に行われているのがKODAIRA祭である。元々は小平キャンパス(現小平国際キャンパス)で開催されていた「小平祭」で、その名残から、現在の名称に変わった。新入生が主体となって企画・運営していることが大きな特徴となっている。対して、例年11月に開催されているのが一橋祭(いっきょうさい)である。こちらは全学生によって、一橋大学ならではのアカデミックな企画やステージイベントなどが実施され、幅広い世代の来場者が楽しめる国立のお祭りとして受け継がれている。
受験生応援企画に話を戻すと、代表的なものに受験生応援冊子の無料配布がある。KODAIRA祭では大学入試の過去問題集"赤本"にちなんで名付けられた"黄本(きほん)"を、一橋祭では"秋本"(前編として"夏本"もある※)を、来場する受験生に配っている。今に始まったことではなく、昭和30年代から続く伝統的なサポートである。
冊子の最大の特徴は、一橋大学を受験した当事者の観点で、学生が自ら編集していること。実行委員会には製作を手掛ける専門チームが組織され、冊子には合格体験記、科目別対策、受験期について語り合う座談会記事などを掲載。一橋大学の入試問題は、その特異性から予備校でも対策を練りにくいことで知られているだけに、冊子の存在を知った一橋受験生の間では、必ず手に入れたいバイブルとなっている。

  • 夏本は、例年はオープンキャンパスで配布。2021年度はオンライン開催のため、希望者に郵送した。

実体験をもとに製作し、過去問題集や情報誌と差別化

"黄本"も"秋本"も、受験生を応援するという目的は同じだが、異なる部分もあるという。まずは黄本の編集経験を持つKODAIRA祭実行委員会の学生に、その特徴や製作の舞台裏について話を聞いた。
「編集方針として掲げているのは、予備校には提供できない冊子づくりです。製作は、1年生がほぼ手作りで行っています。前年の入試で問題を解いた時の感想や、受験対策でぶつかった壁など、実体験をもとにした情報を掲載している点が、一橋受験生から強い支持を得ている理由だと思います。ちなみに、私が編集に携わった1年生の時は、用意した1,000部が2日間で品切れになりました」(岡田 壮悟さん/法学部3年)

岡田 壮悟さんの画像

KODAIRA祭実行委員会 受験生応援企画担当 岡田 壮悟さん(法学部3年)

黄本2021版の画像

KODAIRA祭実行委員会が制作した黄本2021版

一方で、秋本はどのように編集されているのだろうか。担当した一橋祭運営委員会の学生2人に答えてもらった。
「製作は、委員会の広報部門内で活動する受験生応援冊子編集者が担当し、1~3年次のメンバー全員で組織的に行っています。秋本は受験シーズンを目前に配布されるため、直前期に取り組むべき対策に重点を置いて編集しています。目指しているのは、受験生のかゆい所に手が届く冊子です。各科目の過去問演習での注意点をはじめ、私大対策のアドバイスまで掲載している点に特徴があります」(大槻 透さん/社会学部3年)
「受験生向けという想定ですが、高校1~2年生の皆さんにも手に取ってもらいたいと思っています。受験に向けた基礎固めにも活用できる内容だからです。また、地方の受験生に向けたアドバイスや、大学情報も掲載しています。読んでもらえれば、『一橋で学生生活を送りたい』『何としても合格したい』とモチベーションも上がるはずです」(銕 健太郎さん/社会学部3年)

画像:大槻 透さん(社会学部3年)左、銕 健太郎さん(社会学部3年)右

一橋祭運営委員会 広報責任者 大槻 透さん(社会学部3年)右、一橋祭運営委員会 広報副責任者 銕 健太郎さん(社会学部3年)左

夏本製作の様子

取材時に夏本の製作が行われていた。製作は一年生が担当する

2020年に発行した夏本、秋本

2020年に発行した夏本、秋本

一橋大学の魅力にフォーカスした情報ページが設けられている点は、黄本も秋本も共通である。その意味では、学生の目線で紹介された大学案内としても楽しめる読み物といえるだろう。
新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年はオンライン配信での学園祭となったため、冊子の配布方法も変更された。今年についても、6月に開催された「第24回KODAIRA祭」では、国立駅前の旧国立駅舎を借りての対面配布と、郵送希望者には数量限定でKODAIRA祭終了後に届けられた。11月に開催される「第52回一橋祭」に関する情報については、一橋祭ホームページで確認されたい。

一橋祭運営委員会 一橋大学受験生応援WEBページ

ZoomやYouTubeも活用して応援イベントを多数開催

冊子の情報に話題が偏ってしまったが、受験生応援企画のメニューは他にも存在する。学生が合格のコツを伝授する受験生相談会や、受験期のエピソードを学生同士で赤裸々に語り合う新人座談会など、さまざまなイベントが用意されている。学園祭がオンラインでの開催となっても、ZoomやYouTubeを活用して実施するなど、準備や対策は万全である。学生に受験生応援企画に対する想いを尋ねてみた。
「受験生の皆さんとの接点を、一つでも多くつくりたい。そう想いながら企画・運営に携わっています。受験期の自分の体験を伝えることで役に立てると思うと胸が躍りますし、一橋を目指したくなるきっかけになると嬉しいです」(岡田)

KODAIRA祭実行委員会 KODAIRA祭公式Webサイト

「運営委員会では広報部門の責任者を務めているので、受験対策に留まらず、一橋の魅力を広める機会にしたいという想いがあります。学部間の垣根が低く、学びたいことを学べる環境があることなど、自分自身が感じているリアルな魅力も伝えるようにしています」(大槻)
「1年次の時から運営委員会で活動していますが、続けるうちに『学園祭を盛り上げたい』というよりも、『受験生を応援したい』と強く思うようになりました。自分の後輩となり得る受験生に少しでも貢献したいという気持ちが、活動のモチベーションになっています」(銕)
合格を目指している人も、一橋大学のことを詳しく知りたい人も、ぜひKODAIRA祭や一橋祭の受験生応援企画をチェックしてほしい。目から鱗の貴重な情報や、頼れる先輩との出会いがあることは間違いない。

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