自分への小さなご褒美
レ・アントルメ国立の思い出
Tさん(一橋大学職員)2012年法学部卒
2020年1月15日 掲載
一橋大学進学を機に山梨から上京し、大学卒業までの4年間を国立で過ごしました。国立で生活をする中で印象に残っているのが、通学路の途中にある洋菓子店「レ・アントルメ国立」です。当時私が住んでいた場所は、JR中央線国立駅から大学を超えて、JR南武線谷保駅寄りの国立市役所にほど近いところでした。このエリアは、にぎやかな国立駅周辺とは異なり、閑寂な住宅街といった雰囲気で、大学生活に集中したかった私にとって理想的な環境でした。住居から大学までは約10分、幅広で美しい街並みを自転車で通学していました。レ・アントルメ国立は、その通学路の途中にありました。その瀟洒な店構えは、都会の洗練された上品さを醸し出していました。「入りたいけど、入れない。」お店に漂う都会の空気に気後れした私は、横目で見ながら何度となく通り過ぎました。それでもお菓子の誘惑には勝てず、ある日、勇気を振り絞ってお店に入ってみました。
初めてのレ・アントルメには、三つの驚きがありました。まずケーキの美しさです。食べてしまうのがもったいないと思うほど、綺麗にデコレートされていました。しかも、これは後になって気づくのですが、レ・アントルメは四季折々にお菓子のメニューが変わっていて、季節ごとに目を楽しませてくれました。二つ目は価格でした。小さなケーキが、一つ500円近くもするものもあるのです。東京での生活に慣れてゆく中で、それが東京にある有名店のケーキの標準的な価格であることを知りますが、地方から出てきたばかりの私にとっては、衝撃だったのです。そして三つ目は、その美味しさです。とても上品な甘さで、素材の味がしっかり伝わってくる。小さくても十二分に満足できるクオリティーの高さ。「これが都会のケーキなんだ」と納得し、感動したことを覚えています。それからレ・アントルメ国立のケーキは、自分への小さなご褒美になりました。定期試験の後、委員会活動で奔走した後、お誕生日、アルバイトのお給料日・・・・・・。2か月に一回ぐらいのペースで通ったレ・アントルメ国立のケーキは、大学生活に潤いを与えてくれる存在でした。
レ・アントルメ国立とは?
フランス・ルノートル製菓学校でヌーベルアントルメを取得の後フランスで修業を積み、多くの受賞歴がある魵澤信次(えびさわ・しんじ氏、故人)が1993年に国立にオープンした洋菓子店。ケーキをはじめチョコレート、焼き菓子、マカロンなど多くの洋菓子のほか、パンも製造・販売している。
コラム:一橋大学とレ・アントルメ国立
一橋大学は平成23年にレ・アントルメ国立と契約を締結して以来、一橋大学仕様に箱詰めされた焼き菓子をお願いしています。この焼き菓子は、入学式、オープンキャンパス、学位記授与式の際にキャンパス内で販売されています。