ソーシャル・データサイエンス学部
アドミッション・ポリシー
受験生へのメッセージ
ソーシャル・データサイエンス学部・研究科のコンセプトと学生像
渡部 敏明教授
ソーシャル・データサイエンス学部長・
ソーシャル・データサイエンス研究科長
ソーシャル・データサイエンス学部/研究科は、一橋大学に72年ぶりにできた新学部/研究科です。"社会科学の総合大学"としての長い歴史を誇る本学において、初の理系要素の強い学部・研究科であり、その設置については経済界などから大きな期待が寄せられています。
データサイエンス系学部を設置する大学が相次いでいますが、その中にあって、本学のソーシャル・データサイエンス学部・研究科は、"ソーシャル"の名がつけられているところに、最大の特徴があります。
商学部・経済学部・法学部・社会学部の4学部の持つ知見やノウハウとデータサイエンスを融合させ、データを活用してビジネスを革新し社会の諸課題を解決する方策を提案・実行できる人材の育成に主眼を置いています。このコンセプトにおいて、本学部・研究科は世界においても随一の存在となると自負しています。
本学部の卒業生は、企業においてハイレベルなマーケティングの実行や事業戦略の意思決定に携わっていくことが考えられます。また、官公庁においてはEBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を担ううえで必要なデータ分析・活用の手法を身につけ、活躍できることと思います。こうした人材は、今最も社会で必要とされる、極めて付加価値の高い人材であると言えます。
そのため、本学部に入学する学生にまず求められるのは、基礎力としての数学の素養です。データサイエンスには統計や計算が不可欠であり、数学を避けて通ることはできません。得意ではなくても、アレルギーがない、嫌いではないことは最低条件でしょう。また、学部・研究科でも数学を学ぶカリキュラムは豊富に用意していますので、入学後に数学の力を高めることは十分可能です。
そして、社会や経済への関心が高いことです。与えられた課題とデータをただ分析するという態度ではなく、社会の諸相における問題を自ら見つけ出し、自らデータを揃えて分析し、解決への道筋を提言するといった主体性も、一橋大学生らしさとして求められるでしょう。
学部は60名でのスタートです。まさしく少数精鋭。我こそは、という学生諸君の応募を期待しています。
学部概要
社会科学とデータサイエンスの「融合」
近年の社会・自然環境の大幅な変化により、企業経営における情報化の急速な進展や国際競争の激化、富の集中や地域間の不平等、金融システムの深化や不安定化、高齢化と社会保障費の増大、温暖化や異常気象といった気候変動、国家間の分断や紛争、未知のウィルスによるパンデミックなど様々な課題が新たに発生しており、これらの課題の状況は刻一刻と変化を続けています。
このような、急速かつ複雑に変化する現代社会の課題を解決するためには、社会科学の理論を用いてビジネス上・政策上の様々な課題を抽出し、データサイエンスの技術を用いてそれらの課題を解決するために必要なデータを収集・分析するとともに、改めて社会科学の理論を用いて現実社会における取組や意思決定のための示唆を得る、という、社会科学とデータサイエンスを融合させた教育研究が必要です。それこそが、本学部において行われる「ソーシャル・データサイエンス」の教育研究です。
本学部は、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの学問分野において、その考え方を修得し、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの養成を目指します。ここで言うゼネラリストとは、興味関心を持つ業種において、幅広い観点からビジネスの革新や社会課題の解決に対する方策を提案・実行し、幅広い職種を経験しながら専門性を身に付けていく人材のことを指しています。
本学部では、社会科学とデータサイエンスの知識を融合し、社会で蓄積されるデータを用いて、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できる人材を養成します。そのような人材は、具体的には、利便性の高いデータ分析基盤を開発することができる開発・マネジメント型人材と、既存の社会科学では解決できない新たな課題に対応可能な組織運営に能動的に関与していくことができる分析・マネジメント型人材に分類できます。いずれも、将来の経営幹部の候補として、社会に貢献することが見込まれます。
在学生からのメッセージ
枠組みにとらわれない学びを
『大学案内2026』より
細田 陽真
2025年 ソーシャル・データサイエンス学部入学
私が一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部(略称:SDS学部)を志望しようと決めた時期は高3の5月です。学校の文理選択では文系を選択していたものの、得意教科が数学で、受験科目としての社会(特に歴史)・国語が苦手であり、関心を持っている分野が自分の中でもはっきりしておらず、志望校を決めかねている時期に出会ったのがこの学部でした。
この学部に魅力を感じたのにはいくつか理由があったわけですが、その中でも入学前の時点で学びたい学問を限定することなく、経済学、経営・商学、法学、社会学といった一橋大学の強みとも言える社会科学分野のみならず、それらと並行して数学を軸としたデータサイエンスなどを幅広く学び、実践できることが特に大きな理由だったと思います。
実際にこの学部で学び始めて感じていることとしては、SDS学部生の人数が他の学部と比べてとても少ないことから生じる謎の結束感(?)です。上級生の方々を見てもみなさん非常にSDS学部内で仲が良く、一年生同士でも何かのイベントでお互いがSDS学部生であることがわかると、なぜか強い同胞意識を感じます(笑)。数が少ないからこそ感じられるこの感覚も、この学部の一つの魅力ではないでしょうか。文理を決めかねている方、やりたい学問が明確には定まっていない方など、様々な方にこの学部を志望していただき、共に学問の枠組みにとらわれずに学んでいくことを新入生ながら楽しみにしています。
枠組みにとらわれない学び
『大学案内2025』より
北村 有彩
2024年 ソーシャル・データサイエンス学部入学
私がこの学部に入学した理由は文理融合の理念に惹かれたからです。私はもともと文理をなかなか決められず、文系と決めたあとも理系を諦めきれずにいました。そんなとき一橋大学が新設したという学部について聞き、調べてすぐに志望すると決めました。この学部こそ私が求めている場所だと思ったからです。入学してみると私と同じく文理融合に惹かれた人も多く、文系、理系が混ざり合いながら日々共に学んでいます。
現在、AIに代表される急激な技術の発達によりこれまで考えられもしなかった様々な問題が生じています。これらの問題は今までの文理の枠組みの中では解決しきれないものも多くあります。そのような問題を解決する人材を育成する場としてつくられたのが一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部です。実際、同じ学部の学生の中でも興味のある分野は様々で、授業も数学はもちろんのこと、法学や経済学なども自由に履修でき、多角的な見方を身につけられていると感じます。
文理を決めかねている方、また社会課題を解決する実践的な力が欲しい方、そんな様々な人にこの学部は向いていると思います。どうかたくさんの方がこの学部を志望し、共に学べる日が来ることを願っています。