経済学部
アドミッション・ポリシー
受験生へのメッセージ
社会が抱える諸問題に対し、
経済学のツールを活用し最適解を導き出す
佐藤 主光
経済学部長・経済学研究科長
経済学とは何か、一言でいえば、客観的な証拠(データ)と論理的思考(ロジック)に基づいて世の中を理解して、その改善に努める学問だと思います。世の中は、貧困や差別、環境問題、地政学的リスクなどたくさんの課題で埋め尽くされています。こうした課題に対して経済学のツールを活用し、最適解を創出するのが経済学の役割です。グローバル化が進み、社会が複雑化する中で経済学の活躍領域は多岐に渡っています。本学部ではこれまでに蓄積してきた知見から最先端の研究に至るまで、学生たちに惜しみなく共有しています。
私がよく言っているのは、「受験生と大学生は違う」ということ。受験生は、与えられた問題に対し、予め決まっている答えを探すことに取り組みます。それは、入学試験の性質上しかたのないことです。これに対し、大学生は自ら課題を発見し、その課題を自ら探究して解を導き出すことが求められます。つまり、イノベーションの追究です。解は一つではないかもしれないし、間違っているかもしれない。辿り着いた後に新たな解が見つかるかもしれない。また、大学の教員は塾の講師とは異なり、決まった解を求める相手ではありません。つまり学生は自分で思考することが求められます。
そのため一橋大学には伝統的な少人数ゼミナール教育があり、学生たちは経済学の最前線で活躍する教員たちと議論を交わしながら自己研鑽を重ねています。グローバル教育という点では、経済学部独自のグローバル・リーダーズ・プログラムを擁し、世界のトップスクールへの留学の道が開かれています。
自らの幸せを追求するために大学に進学する。その権利は当然あります。しかしながら、国立大学には、社会を構築するという役割が求められています。また、高い志を持つことが自らの深い学びにもつながります。将来は、社会に資する人材として活躍したい。そんな受験生を心から応援します。
学部概要
「5年一貫教育システム」と高度専門職業人の養成
経済学部の教育は、社会的要請への対応という側面を重要視しています。特に、卒業後の進路を考えた場合、経済学に関して高度な知識や技術を必要とする職業が増加しています。例えば、銀行や証券会社などの金融機関において派生証券の開発や運用に携わる部門、国連などの国際機関、国や県などの官公庁、民間の研究機関やシンクタンクなどにおいては、最初から実践的な専門的能力が期待されています。このような社会状況を背景として、経済学部では、授業科目を入門科目、基礎科目、発展科目に分けて、積み上げ方式による教育を実施しています。そして、勉学の進んだ意欲ある学生には、大学院科目を開放しています。
このことを制度として発展させたものが「5年一貫教育システム」であり、学部在学時に大学院科目を履修することによって、学部4年間の後、引き続いて修士を1年間で修了することを可能にしています。このシステムは、「5年一貫研究者養成コース」と「5年一貫修士専修コース」という2つのコースに分かれており、そのうち「5年一貫修士専修コース」は、「公共政策」、「統計・ファイナンス」、「地域研究」、「医療経済」、「一般」の5つのプログラムから構成され、上述の高度専門的な職業への就職を後押ししています。
経済学の研究内容は、時代の文脈を反映して、時代とともに変化します。教育についても、同様であります。経済学部は、そのような時代の風を感じ取りつつ、今後も、一橋大学の経済学がグローバル・スタンダードで注目されるようなものであり続けるように、様々な努力をしているところです。
卒業生から
美しいキャンパスで築く学びの基盤
『大学案内2025』より
一方井 宏汰
2017年 経済学部卒業
2018年 経済学研究科卒業
日本銀行
卒業後、私は日本銀行に就職し、現在は金融政策決定会合に向けて市場動向を分析する仕事をしています。一橋で学ぶ良さの一つは、少人数の大学であるゆえに友人や教授陣との距離が近い一方で、履修科目の選択肢が豊富にあることだと思いますが、当時好奇心の赴くままに学んだ経済学の知識やゼミなどでの議論を通じて鍛えた論理的思考は、中央銀行で働くうえでの基礎となっています。
また、国立のキャンパスに留まらず、海外に踏み出すチャンスが豊富にあることも一橋の魅力です。例えば、2年次に参加した中国への短期海外調査ゼミナールや、3年次に如水会からの支援を受けて実現した欧州への長期留学は、人生のハイライトと言っても過言ではないほど貴重な経験でした。
さらに、就職も視野に入れつつ効率的に専門分野の勉強を進めたかった私にとって、学部卒業後、5年一貫教育システムを活用し1年で修士号を取得できたことは、一橋だからこそ実現できた選択でした。
そして何といっても、四季折々に表情を変える国立の風光明媚な街並みも学生生活の思い出の一つになるでしょう。卒業後も、一橋で築いた学びや友人・恩師との縁は続いていきます。皆さんが、一橋大生としてその一歩を踏み出されることを応援しています。
美しい街のおもしろい大学
『大学案内2024』より
橋本 周子
2010年 経済学部卒業
(株)博報堂
入学試験で初めて一橋大学に踏み入れた時、その格式張らない雰囲気がとても好きになりました。それは比較的少人数の大学だからこそ醸し出せる独特のものだったのかもしれないと、今にして思います。
例えば履修科目。各学部の専門科目の充実はもちろんのこと、全学共通科目の幅が広く、興味深いものでした。まさか文系大学の教養ゼミで理科の実験をするなんて思いもしませんでした。共通科目の話は、今も卒業生同士の語り草として盛り上がります。
また、通う内にだいたいの人が知った顔になってゆきます。友達の友達を辿れば繋がりたい人に届いていくのも、この規模の所以だと思います。
その先輩後輩も含めた繋がりは社会に出てからも支えとなります。色眼鏡かもしれないですが、他大学に比べて卒業生同士の距離感が近い気がするのも、この大学の特長なのかもしれません。
かくいう私も在学中は剣道部に所属し、親には剣道学部に入ったの?と揶揄されるくらい女子主将として部活動に打ち込む日々でしたが、今は一児の母となり博報堂でメディアに関わる仕事をしています。卒論の内容が仕事に活かせたり、社内の学部まちまちの卒業生が集まる「ばし会」を開いて新たな仕事のヒントを得たり、大学での学びや繋がりはいつまでも自分の糧となっていると実感しています。
そして、国立の街は美しいです。春は桜、夏は蝉の大合唱、秋は金色の銀杏、冬はイルミネーション。四季の移ろいを感じる大学通りに、一橋大学はよく馴染みます。この美しい街が皆さんの学生生活を一層豊かなものにしてくれると信じています。