商学部
アドミッション・ポリシー
受験生へのメッセージ
社会課題に対する自分なりの視点を高校時代に持っておくことが重要
福川 裕徳
商学部長・経営管理研究科長
受験生の皆さんにとってビジネスの世界は遠い存在でしょうから、もしかしたら「企業は利益を出せばそれでいいのではないか」と思う人も少なからずいるかもしれません。確かに利益は出さなければなりませんが、今の時代は利益だけではなく社会課題の解決に向けた価値創造が重要になっています。価値創造の根底にあるのは「L・I・I」=リーダーシップ・インテグリティ・イノベーションという3つのキーワードです。まず単なるお金儲けではないということを理解すること。そして企業は経済主体として、いかに社会課題に対して価値を創造し、その対価として利益を得るかが重要なテーマになるのです。たとえば原価100円のペットボトル飲料を150円で売ることは、喉の渇きという課題に対してその渇きを癒すという価値の提供が第一であり、提供した価値の対価として50円の利益を得る...という捉え方です。
そのことを学んでいただくために、商学部では1年次の導入ゼミをアップデートしています。入門書をもとに「読み・書き・考える」だけではなく、ビジネスのレンズを通して社会課題を見つめることに重点を置くこととしました。スポーツになぞらえると、従来の導入ゼミは基礎体力をつけるためのトレーニングが中心でした。しかしそれではそのスポーツの面白さはなかなか味わえません。知識や技術が伴わず、上手くなくてもいいから実際の試合を通じてスポーツの醍醐味を体感できる。そんな導入ゼミに変えたということです。このアップデートによって学生にモチベーションを高めてもらい、ビジネスを通じた社会課題の解決に向けて取り組むきっかけを掴んでほしいと考えています。
そこで大切になってくるのが社会課題に対する問題意識です。問題意識を持つこと自体を、学生に強要することはできません。環境破壊、生物多様性の喪失、経済格差、医療を取り巻く諸問題、少子高齢化、地政学的リスク...日本にも世界にもさまざまな社会課題があります。こういった社会課題に対して、高校時代に自分なりの見方、つまり問題意識を持つようにしておきましょう。(談)
学部概要
ビジネスの世界で役立つ理論的思考能力を身に付ける
商学部は商学及び経営学をその教育・研究領域としており、商法講習所、東京高等商業学校、東京商科大学から続く一橋大学の伝統を中心的に受け継いできた学部です。
"Captains of Industry"の育成という本学の使命の下、商学部はアカデミズムに裏付けられた実践的な分析能力と解決能力をもつリーダーを育てることに力を入れてきました。卒業生の多くが実業界を中心に日本の経済・社会の発展を牽引し、あるいは社会が直面する様々な課題の解決に貢献しています。商学部のこのような教育を支えているのは、長年にわたり学界をリードしてきた本学部教員の高水準の研究です。
商学部での学修内容を簡単に表現するなら、「企業や市場に関連する応用社会科学」ということができます。企業や市場に関連した現象を様々な角度から理論的に解明するために、経営学や会計学、商学、経済学、歴史学、社会学、心理学など多様な社会科学の学問を理論的に幅広く学び、現実世界の解明へと応用していくのが商学部における教育・研究の特徴です。これらをじっくりと学ぶことによって、理論的に深く考える能力が身につき、それが高度専門職業人として生きていく上で大切な力となります。同時に、高度に知的なトレーニングと人間的なふれあいを特徴とする少人数のゼミナール教育を通じて、高い知性と倫理性を備えた高潔な人格を育んでいくことも、商学部が目指しているところです。
商学部生は全員が入学時から卒業するまで、本学伝統の「ゼミナール」が必修となっています。1年次の「導入ゼミナールⅠ・Ⅱ」に始まり、2年次の「前期ゼミナールⅠ・Ⅱ」を経て、3・4年次の「後期ゼミナール」まで、学年進行とともに、基礎から応用へと段階的に高度化・専門化していきます。
一方、講義科目については商学部の教育に必要とされるコアの学部導入科目を学んだ後、学部基礎科目、学部発展科目に進みます。これらの講義科目は、段階的・体系的コースワークの性格を強めたものになっています。それに加えて、企業や団体による寄附講義を多数開講し、第一線で活躍する実務家教員による教育も行われています。
商学部ではまた、特に優れた学生のために「学部・修士5年一貫教育プログラム」が用意されています。このプログラムを履修することにより、学士課程入学から大学院修士課程修了までの5年間(通常の修業年限は6年)で学士号に加えて修士号をも取得することができます。
商学部がその教育において重視しているのは、実践志向の強さと国際性の高さです。ここでいう実践志向とは、学んだことを単に知識のレベルにとどめるのではなく、直面する問題の解決に向けその知性を創造的に動員し、なおかつ解決の実現に向けて自らコミットすることを意味しています。また国際性とは、使用する言語や文化的背景の相違に制約されることなく自らの能力を発揮できることを意味しています。本学部は世界各国から多数の留学生を受け入れているのみならず、逆に「世界に平然と打って出る」商学部生を増やしていきたいと考えています。英語によるゼミナールや専門科目の履修、海外留学を取り入れた、グローバル・ビジネスリーダーの育成を目指す渋沢スカラープログラム(SSP)は、そうした取り組みの核になるものです。
社会科学的な知性を身につけ、高度な専門知識を駆使する職業人として世界を舞台に活躍しようと志す人の期待に、商学部は十分に応えます。
卒業生から
豊かな経験と幅広い人脈を人生の財産に
『大学案内2025』より
渡辺 夏実
2019年 商学部卒業
東レ株式会社
一橋大学で学ぶことができてとても恵まれていたと社会人になって改めて実感しており、数々の貴重な経験は私の人生の基盤になっています。
少人数のゼミナール教育では、先生方の厳しくも温かいご指導の下、自ら問題意識を持ち、仲間と議論して問題の本質を見抜き、解決へ導くという社会で必要とされる力を培うための訓練を4年間も積むことができました。また、私は渋沢栄一をロールモデルとした人材育成プログラムにも参加し、この時に学んだ「Step out of mycomfort zone」という考え方が、常に変化を恐れず新しいことに挑戦する勇気を与えてくれています。さらに、如水会の手厚いサポートを受けてオランダの大学に留学したことで、国際的な視野が広がり、環境適応能力も養うことができました。
私は現在東レという総合化学メーカーで財務の仕事をしていますが、こういう経験はもちろんのこと、大学で出会った優秀な仲間と如水会を通じた先輩後輩との強い繋がりも支えになっています。一橋生は幅広い業界で活躍しているため、専門的な意見をもらうことができて大変心強く、もっと頑張ろうと刺激を受けています。
皆さんも是非一橋大学で一生モノの財産を築きませんか?
現在の私の基盤を築いた4年間
『大学案内2024』より
金子 裕介
2014年 商学部卒業
三井不動産(株)
私は街づくりに携わる不動産デベロッパーにおいて、プロジェクトマネージャーとして、社内外の多数の関係者とともに街づくりを推し進める仕事をしています。大きなプロジェクトであっても、実現までには各関係者が抱える課題を把握、分析し、課題解決に導いていくことの積み重ねが重要であり、それこそがビジネスパーソンに求められる素養の一つだと思います。
一橋大学商学部で学んだ4年間を今振り返ってみると、1年次から必修であったゼミナール教育をはじめとして、自ら考え、仲間と議論し、結論に導いていく、というトレーニングを数多く経験したことが、今の私の基盤になっていると感じます。ここ数年は勤務先の企業が提供する寄附講義の講師として、一橋大学を毎年訪れていますが、現役の学生からの鋭い質問や考察から気づきや学びを得ていますし、非常にレベルの高い環境だなと、改めて実感します。また、ともに学び、キャンパスライフを謳歌した仲間との絆は、一橋大学で得た何よりの財産であり、美しいキャンパスでの日々を今でもたまに思い返します。
皆様も一橋大学でのキャンパスライフを通じて、一生モノの財産を築かれることを願っております。