ゼミ紹介

『大学案内2019』より

滝沢ゼミ「民法(財産法)
財産取引を通して市民社会を学ぶ

滝沢 昌彦 教授

滝沢 昌彦 教授

1985年に一橋大学法学部を卒業後、司法修習(第37期)。その後、一橋大学法学部助手や専任講師等を経て、法学研究科教授。専門は民法(財産法)。法科大学院で民事法演習等を担当する他、学部でも、ときどき民法を講義し、ゼミは常に開いている。

ゼミ風景

民法を学ぶゼミです。民法とは要するに「市民法」という程度の意味で、一般市民間の関係を規律する法律です。こう言うと漠然とした印象を受けるかも知れませんが、財産関係と家族関係とが大きなテーマとなります。民法には――法律という形で――(国家とは区別された)市民社会の典型的な姿が現れており、社会が変われば民法も変わります(今年大規模な改正がされたばかりです)。民法を学ぶことは、社会とは何かを考える良いきっかけになるでしょう。なお、私(滝沢)の専門との関係で主に財産法を扱いますが、家族法を排除するつもりはありません。
さて、法律学とは法律を「解釈」する学問です。法律の条文は簡単な原則にしか過ぎないので、これを実際の事件に適用しようとすると必ず運用上の問題が出てきます。そこで、法律を解釈する必要が生じるわけです。ゼミでは、普段は(特に学生からの要望がない限り)判例を素材として勉強しています。実際にあった紛争を扱うのです。何故このようなことをしたのか(人間のすることには必ず「動機」があります)を考えながら判例を読めば――法律の解釈の勉強になるだけではなく――人間の行動、さらには人間社会について考えさせられることも多いでしょう。判例を通して、取引の実際や家族の現状に触れることができるのです。こうして得られた(法律の、あるいは法律以外の)知識は、将来必ず君たちの(無形の)貴重な財産となるでしょう。
ゼミとは、他人との議論(対話)を通じて学ぶ場です。普段の勉強は「読む」「聞く」ですが、自分の考えを他人に分かりやすく伝えるにはそれなりの技術が必要ですし、また、それによって自分の考えが深まるというフィードバックが期待できます。他人の話を聞くときも、「何か突っ込みどころはないか」と考えながら聞けば複眼的な理解になります。そもそも、ものを考えることは自分との対話です。一緒に、ゼミを通して対話の作法を学びましょう。


鶴田 瑛子

鶴田 瑛子

法学部3年

滝沢ゼミの特徴は法曹志望の学生がとても多いこと、綿密な判例研究を行うことです。授業や司法試験の網羅的な勉強では、一つ一つの判例に深入りする機会は中々ありません。そのため、先生に助言をいただきながら判例を研究することは良い思考訓練になります。私自身は民間等の就職を考えていますが、法律のプロを目指して本気で勉強している人達と議論をすることは、とても刺激的な経験になっています。また、毎年行う一橋祭での発表も良い経験です。私の班は「芸能事務所のアイドル恋愛禁止契約は有効か」というテーマで発表します。このように身近な問題を民法を切り口に考えることもゼミならではだと思います。
民法は、私たちの経済活動や家族活動という社会生活の根幹をなす活動を規律するルールです。事案ごとにどちらの権利を認める方が社会がより良く回るか、妥当な結論を考えることが面白いです。こうした思考は社会人になっても役立つと考えています
2017年10月撮影