法学部

一橋大学法学部は、一橋大学のリベラルな学風の下で、豊かな人権感覚と社会的公共性に裏打ちされた法学の専門的素養と国際的洞察力を兼ね備える人材を育成することを目標としています。
本学部は、社会問題への関心が高く、論理的思考力、言語能力に優れた意欲的な学生を求めています。
実社会で生じる問題を多く扱う法学と国際関係の学習には、学生にとっては必ずしも身近とはいえない事象も含め、様々な社会事象に広く関心をもつことが必要です。日々報道される社会問題に関心を向け、広く情報収集をはかって知見を広め、自ら理解を深めようとする姿勢が重要です。現在進行中の社会問題だけでなく、日本と世界の歴史から学ぶことも多いはずです。
論理的に思考し明晰な言葉で表現する力の鍛錬は、法学部のカリキュラム全体を通じてはかられるところですが、基礎的な能力は入学時にも求められます。論説文の読解や数学的思考の訓練は、論理的思考力・表現力の涵養につながるものと思われます。
最後に、本学部で習得することのできる知識や能力の前提条件として、高い言語能力は必要不可欠です。ここでいう言語能力には、外国語だけでなく、日本語の読解力・表現力も含まれます。日本語については、入学の時点で、さまざまな文章の論旨を正確に把握する能力および比較的長い論理的文章を作成する能力を有していることが求められます。また、優れた国際的感覚を身につける前提として、英語を中心とする外国語でのコミュニケーション能力も重要です。グローバリゼーションの進展のなかで、国内の実定法を専門的に学ぶことを企図する学生や法律専門職を志す学生にも、外国語の基礎学力は欠かせません。これらの能力は、多様化、グローバル化が進む世界の中で、立場や考えを異にする人々と交わり活躍してゆくための基盤となるものです。

受験生へのメッセージ

貴重な大学の4年間を自分で自由に設計し
今までできなかったことにチャレンジしてほしい

只野雅人氏

只野雅人教授

法学部長・法学研究科長

受験生の皆さんにお伝えしたいメッセージは二つあります。
一つ目は、これからの大学で過ごす4年間の意味を考えてほしいということ。大学時代の4年間は、自分で自由に設計し、行動できる貴重な期間です。まずは図書館に行き、今までふれたことのない蔵書に触れてみる。ゼミナールでは、毎週学生同士でしっかり議論し、本音で語り合うことで信頼関係をつくっていく。社会に出てからでは味わえない、ゆったりとした時間の流れの中で、ぜひ自分で4年間を設計し行動してほしいと思います。
二つ目は、今までできなかったことに、背伸びをしてチャレンジして欲しいということです。筆頭に挙げられるのは留学です。本学では毎年1学年の約1割、108名(2017年度実績)の学生が1年間の長期留学を経験します。今までとは違った環境に、積極的に自分自身を置いています。「今までとは違う」という意味では、留学だけではなく、サークル、ボランティア、そして前述のゼミナールなどでもその環境が得られるでしょう。自分とは違うバックグラウンドを持った人たちと顔をつき合わせることで、世界の見え方が変わるはずです。そのうえで、ぜひ自分なりの「芯」をつくってほしいと考えています。(談)

学部概要

良識ある指導的市民としての役割を果たしていくために

ゼミ風景

法学部は、教育目標として、第1に、法律学・国際関係論の基礎知識及び思考方法を確実に習得させること、第2に、幅広い教養を系統的な視点から習得し、人間性豊かで学際的知識を身に付けた教養人を養成することを掲げています。
まず、なぜ法学と国際関係なのでしょうか。法は、現代の国家運営の骨格を成すものです。国の仕組みから始まって、人や物の動きや経済活動、犯罪への対処、さらには国の枠を超えて国家間の取り決めなど、生活のあらゆる場面でルールを定めています。そして、そのようなルールは、たとえ日本国内の問題であっても、今や国際的諸関係を抜きにしては語れないからです。
教育目標の第1が示しているように、法や国際関係には、個別の紛争解決に役立つという側面があります。ルールを知り、それに従って適切に問題を処理する知識・能力は、複雑化する現代社会で重要性を増しており、単に専門家に任せておけば良いとは言えなくなっています。もっとも、個々の紛争の基礎に横たわる問題を知らなければ、本来的な解決には至らないでしょう。教育目標の第2は、このような側面にかかわるものです。学問として法や国際関係を学ぶことには、より広い視野から問題を把握し、世界を全体として展望する視座を獲得するという意味があります。法学や国際関係論は、正義を、あるいは平和と共生を目指すものであって、それは単なる知識の集積を超えた営みなのです。
世界は、先行きが見えにくい状況になっています。多くの人々が真摯な思考や責任ある判断をなくしているのではないかという指摘もみられます。そのような中で、法的な素養・国際関係の知見を豊かに備えた人が、良識ある指導的市民として果たす役割は、今後ますます大きくなっていくでしょう。一橋大学法学部は、その要請に応える人材を多数育成してきましたし、そのような誇りある地位を今後さらに高めていきたいと考えています。

卒業生から

自ら組み立てる学び

青木 佐知

青木 佐知

2011年 法学部卒業
任天堂(株)

私の卒業した法学部では、法制史などの基礎法から安全保障まで幅広い分野を学ぶことができます。私は国際政治のゼミに所属し、毎週の少人数でのディスカッションや卒論の執筆を通じて、物事を多面的に分析する大切さを学びました。
一橋大学には、恵まれた海外派遣留学制度があり、私は4年生の時にカリフォルニア大学バークレー校に1年間留学しました。日本の大学では学ぶことが難しい分野の授業を受講することができ、留学中に出会った世界各国の友人とは今も交流が続いています。
また、学部間の垣根が低いのも魅力です。私も、教職課程を履修したり、他学部のゼミを副ゼミとして履修したりと、法学部以外の様々な授業を履修しました。現在はIR(Investor Relations)といって、株主や投資家に対して経営状況など投資判断に必要な情報を提供する業務を担当しています。海外投資家対応も多いため、多角的な視点と国際的な感覚が求められますが、その基礎は大学時代の経験によって培われたと思います。
一橋大学は小規模ですがその分学生へのサポートが手厚く、充実した学生生活を送ることができます。受験生の皆さんが、美しいキャンパスで素晴らしい大学生活を過ごされることを祈っています。

ゼミ紹介

滝沢ゼミ「民法(財産法)
財産取引を通して市民社会を学ぶ

滝沢 昌彦 教授

滝沢 昌彦 教授

1985年に一橋大学法学部を卒業後、司法修習(第37期)。その後、一橋大学法学部助手や専任講師等を経て、法学研究科教授。専門は民法(財産法)。法科大学院で民事法演習等を担当する他、学部でも、ときどき民法を講義し、ゼミは常に開いている。

ゼミ風景

民法を学ぶゼミです。民法とは要するに「市民法」という程度の意味で、一般市民間の関係を規律する法律です。こう言うと漠然とした印象を受けるかも知れませんが、財産関係と家族関係とが大きなテーマとなります。民法には――法律という形で――(国家とは区別された)市民社会の典型的な姿が現れており、社会が変われば民法も変わります(今年大規模な改正がされたばかりです)。民法を学ぶことは、社会とは何かを考える良いきっかけになるでしょう。なお、私(滝沢)の専門との関係で主に財産法を扱いますが、家族法を排除するつもりはありません。
さて、法律学とは法律を「解釈」する学問です。法律の条文は簡単な原則にしか過ぎないので、これを実際の事件に適用しようとすると必ず運用上の問題が出てきます。そこで、法律を解釈する必要が生じるわけです。ゼミでは、普段は(特に学生からの要望がない限り)判例を素材として勉強しています。実際にあった紛争を扱うのです。何故このようなことをしたのか(人間のすることには必ず「動機」があります)を考えながら判例を読めば――法律の解釈の勉強になるだけではなく――人間の行動、さらには人間社会について考えさせられることも多いでしょう。判例を通して、取引の実際や家族の現状に触れることができるのです。こうして得られた(法律の、あるいは法律以外の)知識は、将来必ず君たちの(無形の)貴重な財産となるでしょう。
ゼミとは、他人との議論(対話)を通じて学ぶ場です。普段の勉強は「読む」「聞く」ですが、自分の考えを他人に分かりやすく伝えるにはそれなりの技術が必要ですし、また、それによって自分の考えが深まるというフィードバックが期待できます。他人の話を聞くときも、「何か突っ込みどころはないか」と考えながら聞けば複眼的な理解になります。そもそも、ものを考えることは自分との対話です。一緒に、ゼミを通して対話の作法を学びましょう。


鶴田 瑛子

鶴田 瑛子

法学部3年

滝沢ゼミの特徴は法曹志望の学生がとても多いこと、綿密な判例研究を行うことです。授業や司法試験の網羅的な勉強では、一つ一つの判例に深入りする機会は中々ありません。そのため、先生に助言をいただきながら判例を研究することは良い思考訓練になります。私自身は民間等の就職を考えていますが、法律のプロを目指して本気で勉強している人達と議論をすることは、とても刺激的な経験になっています。また、毎年行う一橋祭での発表も良い経験です。私の班は「芸能事務所のアイドル恋愛禁止契約は有効か」というテーマで発表します。このように身近な問題を民法を切り口に考えることもゼミならではだと思います。
民法は、私たちの経済活動や家族活動という社会生活の根幹をなす活動を規律するルールです。事案ごとにどちらの権利を認める方が社会がより良く回るか、妥当な結論を考えることが面白いです。こうした思考は社会人になっても役立つと考えています
2017年10月撮影

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