ゼミ紹介

『大学案内2020』より

森ゼミ「西洋経済史」
近代ヨーロッパから現代世界を読み解く

森 宜人 准教授

森 宜人 准教授

2000年一橋大学社会学部卒業、2005年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。関東学院大学経済学部講師・准教授などを経て、2012年より現職。専門は近現代ドイツ都市史。主著は『ドイツ近代都市社会経済史』(日本経済評論社)、『地域と歴史学』(共編著・晃洋書房)など。

ゼミ風景

西洋経済史は、一橋大学で最も長い歴史を有する研究領域の1つです。日本の近代化を経済面から支えることを使命として創設された本学において、西洋経済史は、「ヨーロッパとは何か」、「近代とは何か」を問題意識の根底に据え、市場経済の基礎をなす市民社会の歴史的意義を問いかける役割を果たしてきました。この伝統を継承しつつ、私のゼミでは、19/20世紀ヨーロッパの社会経済史の研究を通じて、現代世界が形成された歴史的経路を把握することを課題としています。
近年の経済史の研究対象は、生産や、流通、金融など狭い意味での経済に限らず、都市、福祉、環境、消費、文化、身体をはじめ多岐にわたります。これは、経済史に限らず歴史分析の目的がアクチュアルな問題関心に即して無限の広がりを持つ過去と対話し、「今」を理解することにあるためです。
この点をふまえ、ゼミの3年次前半に行う英書輪読では、近代ヨーロッパ社会をグローバルなコンテクストのなかで多面的に学ぶことのできる最新の専門書をテキストにしています。3年次後半にはゼミ全体で特定のテーマを選定し、グループワークを通じて実際に史料にあたりながら研究を行い、三商大学ゼミでその成果を発表します。4年次には卒論の指導を行いますが、テーマは、広い意味でのヨーロッパの社会経済史に関するものであれば、自由に設定してもらっています。
ゼミとは人格陶冶の場ですので、毎夏のゼミ合宿は重要な意味を持ちます。計画はすべて学生が主体的に立ててくれるので、九州、四国、信州、北関東など行き先は毎年さまざまですが、普段のゼミでは得られない濃密な時間を共有することができます。この他にも、一橋祭での高校生向けの企画や、夏の高尾山登山などの恒例行事があり、そのたびにゼミテン同士の結束は目に見えて強まっていきます。また毎年のOB会には大勢の卒業生が集まってくれ、卒業後もゼミが心の拠り所となっていることを実感しています。


高橋 美奈

高橋 美奈

経済学部3年

私たちのゼミでは近代ヨーロッパの経済史を研究しています。3年生は英書輪読と三商大学ゼミの準備をグループ単位で行い、4年生は卒論の執筆に各自で取り組みます。森先生は研究熱心で博識な方です。3・4年生合同でゼミを行うため、難しいテーマのときも先生に指導していただきながら、学年の垣根をこえてゼミテン全員が共に意見を出し合い、議論を進めることで多くのことを学びました。
一橋大学出身の森先生はとても気さくな方で、ゼミのイベントでは学生との垣根がなくなります。今年の夏は長崎・天草に合宿に行き、日本の歴史に対するヨーロッパの影響を実地に学ぶとともに、ゼミテン同士の親睦を深めました。また、高尾山に登った後、山頂でみんなで美味しくビールを飲んだこともとても良い思い出です!
私は高校生の時に一橋大学のオープンキャンパスで森先生の模擬講義を聞きました。そこで経済史に興味を持ち、今こうして貴重な時間を過ごせていることをうれしく思います。
2018年10月撮影