経済学部

一橋大学は、建学以来、自由聞達な学風のもとで、社会科学の総合大学として研究・教育を推進し、国内のみならず国際的に活躍する多くの有為な人材を輩出してきました。経済学部は、このような本学の伝統の中核を担って、経済学的な視点と知識を有する人材の育成に携わっています。
経済学は、さまざまな産業において生産されるモノやサービスが市場で交換、分配、そして消費される循環的なプロセスを広い視点から研究して、そこに現れる特徴や法則性等を見いだそうとする学問です。経済活動や経済現象の全体は複雑であり、意味のある分析をするためには、さまざまな科学的推論が必要となります。そのために、経済学は数学を必要とします。他方で、経済学は人間と社会を対象とする社会科学であり、解決すべき問題は時代の文脈に従って変化します。現在、日本、そして世界には、失業、環境、貧困、医療、少子高齢化、福祉等の重要な経済問題、社会問題があります。経済活動の国際化、あるいは技術革新の進展に伴い、新たな多くの問題も生まれています。このような問題を扱うためには、経済学の知識とともに、問題の背後を理解するため、歴史学的および地理学的視点も必要とされます。また、外国語によるコミュニケーション能力もますます重要になっています。
以上のことから本学部では、以下の諸能力を備えた学生を受け入れたいと考えています。
①英語による講義を受講できる双方向の外国語能力、②経済学を理解するための数学力、③双方向コミュニケーションのための日本語能力、④経済現象を幅広い視野と多角的見地から分析できる解析力、⑤幅広い一般的知識とそれを深化させうる理解力。
本学部は、幅広い視点に立った教育を、経済学のさまざまな分野に関する授業をはじめとして、少人数のゼミナール教育を通じて多面的に実践しています。このような教育を受けた卒業生は、民間企業で活躍するほかに、かなりの学生が、官庁、民間の研究機関、世界銀行等の国際機関、そして大学院等に進みます。このことは、経済学が幅広い視点から経済活動を捉える学問である、という上述の学問的姿勢によるところが大きいものと考えられます。日本および世界には、経済学の観点から見てチャレンジングな課題が数多くあります。そのような課題に、一橋大学経済学部で我々と一緒に取り組んでみませんか。我々は、柔軟な発想とみずみずしい感性をもつ皆さんの入学を心から待ち望んでいます。

受験生へのメッセージ

他人と合意やルールを形成しながら生きていく
人間の営みから、経済学の奥深さにふれてほしい

岡田 羊祐氏

岡田 羊祐

経済学部・経済学研究科長

経済学では何を学ぶか?ということについて、サイエンス(自然科学)とアーツの違いからひもといてみましょう。サイエンスとは人ならぬ神が作ったものを研究対象とします。自然現象、人間の心理や生理、地球・宇宙は、この範ちゅうに入ります。一方アーツは人間が日々の営みの中で作った「人工物」、すなわち言語、法、貨幣等が研究対象です。アーツはさらに人文学、法学、経済学、商学等へ分化していきますが、その違いは、人間の行動や思考をどうモデル化するかによります。ただし、神の視点からみれば人間の行動にも自然と同様の法則性があるかもしれません。その意味で経済学はサイエンスでもありアーツでもあります。
人間は一人では生きていけず、必ず日々の営みの中で他人と合意やルールを作るわけですが、その規範を学ぶうえで経済学は非常に役に立つ学問です。経済学の体系のなかで最初に学ぶのは、合理的な経済人=ホモ・エコノミクスを仮定したモデルです。しかし、もちろん人間はそんな単純な存在ではなく、合理性では説明できないアノマリー(論理では説明できない事象)はたくさんあります。みなさんはまずホモ・エコノミクスを想定し、経済学の基本を学びますが、次第に経済学の奥深さにふれることになるはずです。(談)

学部概要

「5年一貫教育システム」と高度専門職業人の養成

ゼミ風景

経済学部の教育は、社会的要請への対応という側面を重要視しています。特に、卒業後の進路を考えた場合、経済学に関して高度な知識や技術を必要とする職業が増加しています。例えば、銀行や証券会社などの金融機関において派生証券の開発や運用に携わる部門、国連などの国際機関、国や県などの官公庁、民間の研究機関やシンクタンクなどにおいては、最初から実践的な専門的能力が期待されています。このような社会状況を背景として、経済学部では、授業科目を入門科目、基礎科目、発展科目に分けて、積み上げ方式による教育を実施しています。そして、勉学の進んだ意欲ある学生には、大学院科目を開放しています。
このことを制度として発展させたものが「5年一貫教育システム」であり、学部在学時に大学院科目を履修することによって、学部4年間の後、引き続いて修士を1年間で修了することを可能にしています。このシステムは、「5年一貫研究者養成コース」と「5年一貫修士専修コース」という2つのコースに分かれており、そのうち「5年一貫修士専修コース」は、「公共政策」、「統計・ファイナンス」、「地域研究」、「医療経済」、「一般」の5つのプログラムから構成され、上述の高度専門的な職業への就職を後押ししています。
経済学の研究内容は、時代の文脈を反映して、時代とともに変化します。教育についても、同様であります。経済学部は、そのような時代の風を感じ取りつつ、今後も、一橋大学の経済学がグローバル・スタンダードで注目されるようなものであり続けるように、様々な努力をしているところです。

卒業生から

一橋大学を通してリアルな経済社会を感じる

吉永 俊二朗

吉永 俊二朗

2006年 経済学部卒業
(株)三井住友銀行

私が一橋大学を卒業して10年以上が経ちます。今になって、一橋大学で得られたものがこれほどにまで活きるのか、と感銘を受けています。私は就職活動時、学生時代に得たもの、学んだことは主に「目標を定めやり抜く力(体育会バスケ部での活動)」、「経済学・一般教養の幅広い知識」だと思っていました。
実際、社会人になって活きているのはそれだけでなく、「グローバルな視点や英会話力(留学生との交流)」、「学生時代からの人脈・同窓生との新たな人脈」、「学問的な物の考え方」等数多くあります。
私は、三井住友銀行に入行し、法人営業の経験を経て、今は自動車業界の顧客向けに特化した、経営戦略・課題に対するアドバイザリー業務を行っています。その中で、課題に直面した際、経済学の基礎的理論に立ち返ることが解決に繋がった経験が何度もありました。社会で直面する応用問題を解くためには、経済社会の長い歴史に裏打ちされた学問の基礎の体得が必要なのです。
一橋大学経済学部の教員陣は、実業界にも強いつながりをお持ちで、皆さんに多面的かつ深い物の考え方を教えてくださることでしょう。
受験生の皆さんが、一橋大学にチャレンジし、充実した学生生活を過ごし、将来は広い社会に羽ばたいていかれることを切に願っております。

ゼミ紹介

岡田ゼミ「産業組織論」
市場経済における競争と規制を考える

岡田 羊祐 教授

岡田 羊祐 教授

1985年東京大学経済学部卒業、1994年東京大学博士号(経済学)取得、2000年に一橋大学経済学研究科助教授、2006年から現職。研究分野は、産業組織論・競争政策。主な著書に『独禁法審判決の法と経済学』(共編著・東京大学出版会)などがある。教育・研究以外では、公正取引委員会競争政策研究センター所長、総務省情報通信審議会委員など。

ゼミ風景

私の担当するゼミナールでは、様々な市場にみられる競争と規制を幅広く検討対象としています。市場とは「交換」が行われる場です。貨幣を媒介とする売手と買手による自発的交換が中心となる経済を「市場経済」といいます。この市場経済をより良く機能させているものが「競争」です。しかし、現実の経済では、さまざまな理由から政府が市場に介入しています。政府規制が重くのしかかった市場では競争が停滞し、逆に競争が活発な市場では規制が後退します。つまり、市場競争を促進する「競争政策」と政府による「規制政策」は、市場経済の機能を左右するコインのオモテとウラといえます。
ゼミの3年次は、競争政策・規制政策に関する英文テキストの輪読が中心となります。輪読ではテキストを隅々まで丁寧に読みこなせるように指導していきます。そして、テキストの正確な理解を前提として、関連する論点を学生から提示してもらいながらディスカッションを行います。そのプロセスで、問題発見能力や課題設定能力を高めていけるように留意していきます。4年次からは卒業論文の指導が中心となります。ただし、全体を通じて3・4年生合同で活発に議論を行いながらゼミを進めますので、ディスカッション重視のゼミといえるでしょう。加えて、3年次から卒業論文の個別指導を行います。早くから卒業論文への問題意識を高めていくことを狙いとしています。また、プレゼンテーションやディスカッションの訓練となるように、年2回、ディベート大会を実施しています。年度末には卒業論文発表会を兼ねた東京大学のゼミとのジョイント・ワークショップを開催しています。この他、ゼミ合宿(4年生による卒論報告と3年生による合同書評会)、スキー合宿、工場見学なども随時行います。卒業したOB・OGとの繫がりも深く、上下の隔てのない風通しの良いゼミだと思います。


井口 菜那

井口 菜那

経済学部4年

私たちのゼミでは「産業組織論」を扱っており、独占や寡占といった企業行動を理論や実例を用いて分析しています。ゼミは3・4年合同で行い、3年生は洋書を1年かけて輪読し、4年生は卒論発表を行います。年2回のディベート大会では皆念入りに準備をし、時事問題など様々なテーマについて熱く議論を交わします。社会科見学や夏合宿などのイベントもあり、学年を超えて仲良く活動しています。
岡田先生は公正取引委員会の顧問もされており、様々な分野に見識をお持ちなので日々学ぶことばかりです。非常に面倒見が良く、卒論だけでなく就職活動についても親身に相談に乗ってくださいました。ゼミでの学びはこれまでのどの学問よりも濃いものになります。その時間を、尊敬出来る先生や仲間と過ごせることを嬉しく思います。

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