くにたちというまちの風景

一橋大学社会学部2008年卒業 赤尾 政則

2019年1月8日 掲載

マップ
文中の歩道橋から大学通りを望む(写真提供:国立市)

一橋大学を志望する皆さま、はじめまして。私は、現在、国立市役所で勤務する一橋大学社会学部のOBです。
一橋大学で学び、今もくにたちのまちと関わり続けているものの目線から、くにたちというまちの風景を少しだけご紹介したいと思います。

くにたちの風景を一つだけ紹介してください、と言われれば、ほとんどの人が「大学通り」を挙げると思います。私もその1人です。国立駅南口を降りれば目に飛び込んでくる、一直線のメインストリート。季節ごとに、その彩りは変わります。ピンク、緑、黄色、イルミネーション。なかでも、私にとっては春の彩りが思い出深く残っています。
大学4年生のころ、ゼミの先生に連れられて、大学の東キャンパスから「大学通り」を南下し、市の中央部を東西に走る「さくら通り」の西端まで、お花見ランニングをしました。往復5km、頭上の桜が途絶えることはありませんでした。
当時、電車で通学していた私は、国立駅と大学の往復ばかり。たまに国立駅周辺の飲み屋に立ち寄る、という程度で、恥ずかしながら大学のキャンパスよりも南に行くことは少なかったのですが、大学4年にして、こんなにもすばらしい景色、まちなみが広がっていることを知り、非常に後悔しました。もっと早くにまちに出れば良かった、と。
そして、ランニングの帰り道。「大学通り」にかかる歩道橋の中央で、先生が立ち止まります。そこから北を向いて、ひと言。
「これを見せたかったんだよ。」先生がそう評した景色こそ、国立市を象徴する「大学通り」が最も華やぐ景色でした。身びいきを承知で言えば、都内で最も美しい桜の風景、都市と自然がみごとに融合した"くにたちならではの風景"です。ぜひ、皆さん自身の目で見ていただきたいと思います。
私が見た2007年にはすでにありませんでしたが、かつて道の先には「赤い三角屋根の国立駅舎」があり、印象深いアイ・ストップとして市民や学生に親しまれていました(2006年解体)。しかしこの建物は、皆さまのあたたかい想いを受けて、2020年度、昔の姿のままに再築されることが決まっています。その姿も、ご覧になっていただきたいと思います。

マップ
2003年ごろの国立駅南口(写真提供:国立市)

「大学通り」は、一橋大学の学生ならだれもが通る、まちのメインストリートです。国立駅からこの通りを歩けば、都会的でありながらも自然に囲まれ、どこかほっとしたような雰囲気を感じ取れると思います。
しかし私が体験したように、くにたちは、その東西南北にさらなる広がりを持っています。
駅よりも北には「東京のへそ」「ポッポみち」、一橋大学より南には「さくら通り」「ママ下湧水」「おんだし」「谷保天満宮」。
あえて詳しくは申し上げません。ぜひ、大学から一歩踏み出して、ご自身で探してみてほしいと思います。
私も、市役所に勤務して約10年になりますが、いまだに新しい風景を発見することがあります。国立市は、わずか8.15km2、日本で4番目に小さな面積の市ですが、さまざまな魅力がコンパクトに詰まった都市と自然が調和するまちです。

このまちで、いろいろな人たちが日々暮らしています。学んでいます。表現しています。くにたちのもうひとつの魅力は、人びとが"生きているまち"だということです。豊かな風景も、ただそこにあるのではなく、みんなで守り育ててきたもの、生活に根付いているものです。その背景を知ると、同じ風景がまた違って見えてくることもあります。
くにたちを生活の拠点とされる学生の皆さんには、ぜひ、「通り過ぎるまち」「眺めるまち」ではない、「生活の場としてのまち」、くにたちの魅力も感じてほしい、そのように思います。

社会学の基本は、物事をさまざまな角度から見ることと教わりました。時に俯瞰してみたり、深入りしてみたり、裏から斜めから見てみたり、あえて真正面から正直に眺めてみたり。そのように見ると、くにたちには、お伝えしきれない、また私自身もまだ知らない、奥深い魅力があるように感じます。
ぜひ、このまちに来て、このまちを感じて、学びを深めてほしいと思います。皆さんの入学を、大学OBとしても、市職員としても、心よりお待ちしております。

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