国立ラン

法学研究科特任教授  吉野 太人

『HQ2017年秋号vol.56』より

マップ

地理・地形を理解する最適な方法は自分の足でたどることである。私は走ることで、国立市の中央部は平坦で、同部から東及び北は台地、西及び南は多摩川につながる低地となることを実感していた。実際に調べてみたら、「(国立市は)多摩川左岸の沖積低地とそれが武蔵野台地を削った河岸段丘の段丘面及び段丘崖からなる」※1とのこと。また国立市は全国の市の中で4番目、都内では狛江市に次いで2番目に面積が小さく、人口もさほど多くはない※2。地図を眺めると、北から時計回りに、立川市→国分寺市→府中市→日野市に囲まれている。そのため、ここではすぐに市外に出てしまい、走っていると思いがけない場所にたどり着く。歩道はよく整備されており、(やや車は速いが......)人通りも少ないので快適である。時間を見つけて国立市やその周辺を走ってみてはいかがであろうか。3つのコースを紹介してみることとする。

※1 国立市(Wikipedia)
※2 前掲注1)

1 多摩川コース

まず一橋大学北門から北上する。最初の信号交差点を斜めに横切る富士見通りを左折(西南行)する。ここでは前方に富士山が見えるそうだが、私はまだ見たことはない。学生曰く「見えますよ」とのこと。
さて富士見通りをそのまま直進し、突き当たりの郵政大学校前の三叉路を左折して矢川通りを南下し、JR南武線矢川駅前を通過する。ここからは緩やかな下り坂となる。坂を下りきり、前方に多摩川の堤防が見える辺りに来ると、右手に和風屋根の建物「国立温泉 湯楽の里」が現れる。この露天風呂の眺望は良く、天候が許せば富士山が望める。ここまで約3・5キロ。堤防を上ると、そこは多摩川サイクリングロードである。
走った後、湯楽の里で疲れを癒しても良い。帰りは湯楽の里前から出ているJR国立駅行きのバスが利用できる。

2 昭和記念公園コース

国営昭和記念公園のある立川市は、JR中央線沿いの側道を利用すると意外と近い。コースだが、北門から北上し、中央線高架の南側の側道を左折(西行)する。この南側側道は途中で寸断されるので、頃合いを見て北側側道に移る。さらに西行すると、工事中のため側道が一旦中央線から右に外れるが、道に沿って住宅街を抜け、小さな公園を横切ると、再度中央線脇に戻る。これを西行するとJR立川駅北口。ここまで約3キロ。急に人通りが多くなる。次の目印は多摩都市モノレール線の高架である。この高架下を北上すると、人が少なくなり、視界が開け、正面(北方向)にIKEA、左手(西方向)に昭和記念公園が見えてくる。公園の東北角にある高松口までが5キロ弱である。あの箱根駅伝の予選会もここで行われる。また昭和記念公園周回コースは約8キロのロングコースであり、フルマラソンを練習する方には最適である。ちなみに公園内のレインボープールウォータースライダーは、学生はもとより私のような中年も十分楽しめる。なお、IKEAでは夏に食用ザリガニが売られている。

3 谷保天満宮コース

最後は学園都市を体感する谷保天満宮コースである。北門から矢川駅までは多摩川コースと同じである。矢川駅を過ぎ、同駅入口交差点を左折し甲州街道を東進する。学園都市国立はこの甲州街道沿いの寺子屋に起源を持つらしい。しばらく走ると右前方に林が見える。谷保天満宮である。ここまで約3・5キロ。ここは学問の神様である菅原道真公の三男道武公が谷保に道真公の尊容を鎮座したのがはじまりとされ、湯島天神、亀戸天神に並ぶ関東三天神と称されている。
谷保天満宮を北上し大学通りへ。都立国立高校、私立桐朋中・高校前を通過すると、間もなくして一橋大学に至る。学園都市の真骨頂である。ゴールの北門まで約6キロ。
ちなみに北門は利用者が少なく、ランニングウェアで走っていても知人や学生に見つかって恥ずかしい思いをすることはない。
交通ルールを守りつつ、近辺を探検されてはいかがだろうか。

CAMPUS LIFE

キャンパスライフ